Arm TrustZone活用の仮想レイヤーにPOSIX仕様準拠のRTOSが対応:組み込み開発ニュース
イーソルは、同社のPOSIX仕様準拠スケーラブルRTOS「eMCOS POSIX」が、Virtual Open Systemsの仮想レイヤー「VOSySmonitor」に対応したと発表した。RTOSと汎用OSの併用が可能で、複数のセキュリティ要件が求められるシステムへ安全性を提供する。
イーソルは2019年2月21日、同社のPOSIX仕様準拠スケーラブルリアルタイムOS(RTOS)「eMCOS POSIX」が、Virtual Open Systemsの仮想レイヤー「VOSySmonitor」に対応したと発表した。RTOSと汎用OSの併用が可能で、1つのシステムで複数のセキュリティ要件が求められるシステムに対し、安全性と信頼性を提供する。
VOSySmonitorは、Armの「Cortex-Aシリーズ」に搭載のセキュリティ技術「Arm TrustZone」を活用し、メモリやペリフェラルなどのリソースをハードウェアレベルでノーマルワールドとセキュアワールドに分離する。自動車向け機能安全規格ISO26262 ASIL Dに対応している。
eMCOS POSIXは、POSIX 1003.13 PSE 53に準拠し、マルチプロセス/マルチスレッド、ローダブルプロセス、共有ライブラリに対応。分散型マイクロカーネルアーキテクチャを採用し、ヘテロジニアスなハードウェア構成をサポートする。特許技術の「セミプライオリティベーススケジューリング」により、リアルタイム性を保証しながら、CPUのスループットを最大限に引き出せる。
eMCOS POSIXがVOSySmonitorに対応することで、RTOSの空き時間にLinuxなどの汎用OSが実行可能になるため、CPU時間を効率的に活用できる。優先度は汎用OSよりも高く、汎用OSからの干渉を防止する。
自動車など次世代モビリティ機器やエネルギー・電力プラットフォーム、IoT(モノのインターネット)エッジデバイス、産業機器をはじめとしたミックスドクリティカルシステムでの利用を見込む。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 完全自動運転を量産するカギは「SoCの仮想化」、Armが数週間以内に新製品
Armの日本法人アームは2018年12月6日、ユーザーイベント「Arm Tech Symposia 2018 Japan」の開催に合わせて記者説明会を開き、自動運転分野での取り組みを説明した。Armでオートモーティブソリューション&プラットフォームディレクターを務めるロバート・デイ(Robert Day)氏は、レベル4以上の自動運転車でシステムを、現実的なコストと消費電力で実装することと、安全性の向上に注力していくと述べた。 - 次世代AUTOSARに照準、世界トップクラスのOSベンダーへ――イーソルCTO権藤氏
創業から43年を数える老舗組み込みベンダーのイーソルは、メニーコア/マルチコア対応の次世代製品「eMCOS」の展開を拡大しようとしている。同社 取締役CTO 兼 技術本部長の権藤正樹氏に、eMCOSの開発経緯や、eMCOSをベースにしたAUTOSARへの展開、IoT時代に対応するアジャイル開発への取り組みなどについて聞いた。 - 制御系ECUの統合に向けた軽量仮想化ソリューション、オーバスが披露
デンソー子会社のオーバスは、「オートモーティブ ワールド2019」において、軽量の仮想化ソリューション「AUBIST Hypervisor Lite」を参考展示した。2019年度内に評価版の提供を始める予定だ。 - ロボット開発をより簡単に、高性能と低消費電力を両立する組み込みAIも実現
組み込みソフトウェアベンダーのイーソルが「第7回 IoT/M2M展 春」に出展。同社の数ある展示の中から、注目を集めるロボットや組み込みAIに関する展示を紹介しよう。 - 仮想化なしで次世代と現行のAUTOSAR混在環境が可能に、オーバスが開発中
デンソー子会社のオーバスは、「オートモーティブワールド2018」において、次世代AUTOSARであるAUTOSAR Adaptive Platform(AP)に対応するOS「AUBIST Adaptive OS POSIX」のデモンストレーションを披露した。 - 商用リアルタイムOSのPOSIX仕様準拠プロファイルを発売
イーソルは、商用リアルタイムOS「eMCOS」のPOSIX仕様準拠プロファイル「eMCOS POSIX」を発売した。OSSを含む、Linuxのソフトウェア資産とエンジニアリソースの活用を容易にし、製品開発期間の短縮や研究開発の促進に貢献する。