オートメーションが普及しても、人材を「維持する」「増やす」と8割が回答:キャリアニュース
マンパワーグループが、労働白書「人の力が求められている:ロボットが雇用を増やす」を発表した。オートメーションが進む中でも、従業員数を「増やす」「維持する」と回答した雇用主が、3年間で83%から87%に増加していた。
総合人材サービスのマンパワーグループは、2019年2月21日、労働白書「人の力が求められている:ロボットが雇用を増やす」を発表した。
同白書の調査対象は、44カ国6業種の雇用主1万9417人。まず、今後2年間でオートメーションが自社の雇用拡大に与える影響を尋ねたところ、18%が従業員数を「増やす」、69%が「維持する」と回答した。「増やす」と「維持する」の合計が3年間で83%から87%に増加し、日本の回答に限定すると76%から78%に増加した結果となった。多くの企業が従業員数の維持や増員を予定していることが分かった。従業員数を「減らす」は、12%から9%に減少したものの、日本のみの回答では11%から12%に増加した。
また、従業員のスキル向上に取り組む企業はこれまで以上に増えており、日本では50%の企業が、全体では84%の企業が、2020年までに従業員のスキル向上を予定している。
続いて、今後2年のうちに大幅な要員拡充、削減が予定されている部門について尋ねた。最も大きな変化が見込まれるのは「製造、生産」分野で、「近い将来雇用を増やす」と25%が回答した一方で、20%が「減らす」と回答した。日本の回答に限定すると「増やす」が13%、「減らす」が16%となった。
また、オートメーションの普及に伴い、企業が求めるスキルが変化している。特に「ITスキル」の需要が大幅かつ急激に上昇。全体では16%が、日本では31%の企業がIT要員の増強を検討していた。この比率は、要員減少予定と回答した企業の5倍以上、日本では6倍に上る。ITスキルについては、企業が求める学歴や経験と、学位やスキルの取得状況の間にミスマッチが発生している。例えば英国では、学位を持つIT人材が25%しかいないにもかかわらず、求人の46%で学位が必須要件になっているというケースがあった。
ITスキルに加えてコミュニケーション能力も重視されるように
ITやデジタルに関するスキルとともに「ヒューマンスキル」も重視され始めている。IT分野の要員増を計画する企業の65%、日本では58%が、最も重要なソフトスキルとして「コミュニケーション能力」を挙げている。
今後は、高いコミュニケーション能力や交渉力、リーダーシップ、管理能力、適応力などのヒューマンスキルが求められる「営業、接客」や「エンジニア」「管理職」などでも雇用が増える見込みだ。
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