福祉用途の小型高濃度酸素発生器で、スポーツサポート技術の確立を目指す:医療機器ニュース
新エネルギー・産業技術総合開発機構は、VIGO MEDICALが、NEDO事業の成果を基に開発した福祉用途向け小型高濃度酸素発生器「オキシーズ」を、サッカーJ1リーグ大分トリニータへ1年間無償貸与すると発表した。
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は2019年2月19日、VIGO MEDICALが、NEDO事業の成果を基に開発・製品化した福祉用途向け小型高濃度酸素発生器「オキシーズ」を、サッカーJ1リーグ大分トリニータへ無償貸与すると発表した。同年1月1日より、1年間貸与する予定だ。
NEDOは、福祉用具の実用化開発をする中小企業に対して助成する「課題解決型福祉用具実用化開発支援事業」を1993年から実施している。これは、心身の機能が低下した高齢者や障害のある人の健康の増進、生活の質の向上につながる技術の確立を目指すものだ。
現代では、加齢やストレスなどで肺活量が低下し、必要な酸素を自力で取り入れにくい呼吸弱者が増加している。そこで、VIGO MEDICALは2011〜2013年に、このNEDO事業において小型高濃度酸素発生器を開発。同社は、この成果を基にオキシーズを製品化し、2014年1月から販売している。オキシーズは、A4サイズで重量約2.6kgと小型で持ち運びやすく、手軽に酸素を補給できるものだ。
VIGO MEDICALは今回、同年1月1日より、大分トリニータのクラブスポンサーになり、チームに11台のオキシーズを無償貸与する。大分トリニータの選手がオキシーズを使用し、VIGO MEDICALが半年後と1年後に選手の体温、血圧、心拍数、走行距離、スプリント回数の増減などのバイタル計測と血液検査をする。
VIGO MEDICALは、これらの結果を分析することで、トップアスリートのための高濃度酸素の効能を検証し、その有効性を追求する。また、さらなるスポーツサポート技術の確立を目指し、それを通じて得られた知見を基に、オキシーズのさらなる改良と事業展開を進めるという。
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