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靴にもマスカスタマイゼーションの波、店頭でシューズを作る体験は売れるのかイノベーションのレシピ(2/2 ページ)

靴メーカーのECCOは2019年1月29日、顧客個々の足にフィットしたカスタマイズシューズを店頭で製造、販売する日本初(ECCO調べ)のプロジェクト「QUANT-U(クアントゥー)」を発表した。カスタマイズシューズは同年2月20日から伊勢丹 新宿店 メンズ館地下1階 紳士靴売場で提供を開始する。

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マスカスタマイゼーションを業界に先んじて実現するQUANT-U

 カルッチ氏は同プロジェクトを靴市場におけるマスカスタマイゼーションの先駆けとして位置付ける。現時点では顧客1人当たり1時間程度のリードタイムが必要で、伊勢丹新宿店の開店から閉店までフル稼働したとしても、1日当たり10人程度の顧客対応が限界だ。

 同プロジェクトでは今後、店頭以外のバックオフィスに3Dプリンタを設置する構想もある。カルッチ氏は「デジタル足型の計測は1分間で行うことができる。3Dプリンタをそろえれば何千人にもカスタマイズシューズを提供できる可能性がある。まさにマスカスタマイゼーションといえるのではないか」との認識を示す。

 また、収集したデジタル足型データの活用は「とても重要な問題」(カルッチ氏)だ。同社はデータ活用により既製品靴型の最適化を検討する他、マスカスタマイゼーションに乗り出す他の量産靴メーカーが登場した場合にデータフォーマット共通化に意欲を示している。


QUANT-Uのシステム概要(クリックで拡大)

消費者の購買が多様化する現代、店頭のショッピング体験にエンタメ性を


エコー・ジャパン社長の犬塚景子氏

 ECCOでは同プロジェクトを試験的な事業として進め、日本がプロジェクトのローンチ市場となった。ECCO日本法人のエコー・ジャパンで社長を務める犬塚景子氏は「消費者の購買が多様化する現代で、百貨店の売り上げが減少しているといわれる。(通信販売にリアル店舗が押されている)この状況を覆すにはショッピング体験にエンターテインメント性を持たせる必要がある」と語る。

 カスタマイズシューズ作成の価格は、初回のみ必要となる計測料が2万5000円(以下、全て税別)、ミッドソール抜きのシューズが2万6000円、ミッドソールが2万5000円。消費税を含めると合計8万円超となり、量産シューズと比較すると当然ながら高額な印象を受ける。販売計画については「回答を控える」(犬塚氏)とした。

 量産シューズにない履き心地の良さと目の前でカスタマイズシューズが作られるエンターテインメントをウリに事業展開を始めるQUANT-U。消費者は果たして価格以上の価値を見出すのか、同プロジェクトに注目が集まる。

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