日立は冷蔵庫もコネクテッド、下側の引き出しはなぜ2つとも冷凍室になるのか:製造業IoT(2/2 ページ)
日立アプライアンスが冷蔵庫の新製品「R-KX57K/R-KW57K」を発表。冷蔵庫下部の2つの引き出しを、それぞれ冷凍室、冷蔵室、野菜室として使える「ぴったりセレクト」などの新機能を採用した。また、Wi-Fi機能により通信接続が可能で専用の「日立冷蔵アプリ」を利用できるコネクテッド家電モデルも用意した。
コネクテッド家電としての機能は限定的!?
一方、コネクテッド家電としての機能については、ロボット掃除機や洗濯機、IHクッキングヒーターと比べると現時点では限定的だ。
スマートフォンで利用できる日立冷蔵庫アプリの機能は「お知らせ機能」「サポート機能」「リモート機能」「食材管理」の4つ。お知らせ機能では、冷蔵庫ドアを閉め忘れているときなどにユーザーにプッシュ通知で知らせる。サポート機能は、取り扱い説明書の代わりに使い方や手入れ方法を確認できる。リモート機能は、急速製氷や、冷蔵室とぴったりセレクト室の温度の設定と確認を行える。これらの機能は、コネクテッド家電として目新しい機能とはいいがたい。
食材管理では、冷蔵庫内に保存する食材をスマートフォンのカメラで撮影し、購入日や経過日数を管理できる。ただし、冷蔵庫の機能と連携するわけではないので、コネクテッド家電ならではの機能ではない。実際に、日立冷蔵庫アプリをダウンロードすれば、他社の冷蔵庫ユーザーでも利用できる。
ただし、日立アプライアンスは、顧客の生活に合わせて進化させる「ソフトウェア・デファインド コンセプト」に基づきコネクテッド家電の開発を進めている。今回発表したコネクテッド機能を持つ冷蔵庫も、冷蔵庫内のさまざまなセンサーの活用や、日立冷蔵庫アプリの拡充によって新たな機能を提供していく方針を示している。
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