日立は冷蔵庫もコネクテッド、下側の引き出しはなぜ2つとも冷凍室になるのか:製造業IoT(1/2 ページ)
日立アプライアンスが冷蔵庫の新製品「R-KX57K/R-KW57K」を発表。冷蔵庫下部の2つの引き出しを、それぞれ冷凍室、冷蔵室、野菜室として使える「ぴったりセレクト」などの新機能を採用した。また、Wi-Fi機能により通信接続が可能で専用の「日立冷蔵アプリ」を利用できるコネクテッド家電モデルも用意した。
日立アプライアンスは2019年1月24日、東京都内で会見を開き、冷蔵庫の新製品「R-KX57K/R-KW57K」を発表した。冷蔵庫下部の2つの引き出しを、それぞれ冷凍室、冷蔵室、野菜室として使える「ぴったりセレクト」や、上段の冷蔵室内をチルド温度である約2℃にして全体をチルド室とする「まるごとチルド」などの新機能を採用した。また、同社のロボット掃除機や洗濯機、IHクッキングヒーターと同様に、Wi-Fi機能により通信接続が可能で専用の「日立冷蔵アプリ」を利用できるコネクテッド家電モデル(R-KX57Kのみ)も用意した。発売はR-KX57Kが2019年3月中旬、Wi-Fi機能を持たないR-KW57Kが同年2月下旬、市場想定価格は、R-KX57Kが約43万円、R-KW57Kが約41万円。
最大で259lもの冷凍容量が可能に
ぴったりセレクトは、子供のいない夫婦や共働き家族、シニア世代など、年代や家族構成によって冷凍室や野菜室の収納量や使い方が異なることに着目して開発した機能だ。冷蔵庫下部の2つの引き出しを、冷凍室や冷蔵室、野菜室として用途を切り替えることができる。これにより、中段にある製氷室や冷凍室を含めて最大259l(リットル)の冷凍容量を実現した。
従来も、中段にある冷凍室の用途を切り替えられる冷蔵庫は販売されてきたが、下部の2つの引き出しで実現している例はあまりない。これは、冷却制御の難しさが背景にある。強冷凍の−22℃から弱冷蔵の6℃まで温度制御の範囲が広い上に、200l以上の冷凍容量を冷やすための冷却能力も必要だ。また、中段の製氷室と冷凍室、下部の2つの引き出し、それぞれの冷凍冷蔵設定に合わせた断熱性能も確保しなければならない。さらに、収納容量を減らさないような構造も求められる。
ぴったりセレクトでは、幅広い温度可変制御を実現するために、大開口フラップと大風量ファンを新たに採用して大容量の冷凍を可能にするとともに、冷却器からの伝熱を利用して冷気の流入量を抑えて冷蔵を行う温度可変冷却制御を実現した。また、従来の冷蔵庫で用いていたプロペラファンをターボファンに置き換えて冷却風路構造をスリム化し、仕切り部への真空断熱材の採用で薄壁化。容量の確保につなげた。
まるごとチルドは、2018年モデルから採用している冷蔵室独立冷却の風路構造を改善して冷却速度を高めることで実現した。日立アプライアンスは気圧を下げて密閉構造を作り出す「真空チルド」を特徴としてきたが、チルド室の容量が少ないことが課題だった。今回の新製品では、冷蔵室全体がチルド室になるという真逆のアプローチをとった。一方、これまで真空チルドのあった箇所は、乾燥を抑え、凍らせない約−1℃で肉や魚を保存する「特鮮氷温ルーム」となった。
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