工場自動化のホワイトスペースを狙え、主戦場は「搬送」と「検査」か:MONOist 2019年展望(3/3 ページ)
労働力不足が加速する中、人手がかかる作業を低減し省力化を目的とした「自動化」への関心が高まっている。製造現場では以前から「自動化」が進んでいるが、2019年は従来の空白地域の自動化が大きく加速する見込みだ。具体的には「搬送」と「検査」の自動化が広がる。
AIと相性の良い検査工程の自動化
「搬送」に続いて自動化が加速すると見られているのが「検査」工程である。検査工程でも以前から、一部の領域においては専用検査装置による自動化が進んでいた領域である。しかし、専用検査装置を利用できるのは似たようなものが大量に流れるような部材に限定されていた。例えば、プリント基板や半導体などでは専用検査装置などである※)。
※)関連記事:IoT時代にどう立ち向かうか、自動検査の位置付けを変えたマインドセット
ただ、これらの「似たようなもの」を「大量に流す」という条件に当てはまらない領域では人手で検査するケースも数多く残されており、工場内でも人手がかかる領域となってきた。
この環境を打破するきっかけとして期待されているのがAI(人工知能)関連技術の発展である。画像や音声など非構造化データの認識と解析に相性の良いAIの発展により、従来は人手で「見たり触ったり聞いたり」して行ってきたこれらのチェックや検査を自動化できる可能性が広がってきている。
特に画像の活用などには大きな期待が集まっている。例えば、ロボットにカメラや3Dスキャナーをもたせて、プリント基板のような定まった形ではなく、複雑な形状の外形部品などの成形精度などを検査するような仕組みなども広がりつつある。
マスカスタマイゼーションにも必要な検査自動化領域の拡大
さらに先述した「マスカスタマイゼーション」の実現の意味でも、検査工程の自動化は大きなポイントとなる。マスカスタマイゼーションに必要とされるワークショップ型のモノづくりを行う場合、ワークそのものはあちこちを行き来するわけで各ワークショップの中で作業と検査を完結する必要がある。各工程に全て検査工程を加えそれを人手で行うということは現実的ではないため、検査も機械で行うことが前提となる。そこで画像や音声とAIを組み合わせて最適な検査が行える体制が求められる。
ここで重要になるのが、コストだ。人は高精度なセンサーを備えつつ複数な作業を臨機応変にこなし、さらにコストも安いという、非常に優秀な作業リソースである。同様のことを機械でやろうとするとコストが大幅に跳ね上がる。これをどこまで人に近づけるかということがポイントになるわけである。AIを効果的に使うことによって、これを打破する可能性があるために注目されているのだ。2019年もこれらの関連技術やソリューションが登場すると見られており、導入も広がる見込みだ。
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