AI搭載の内視鏡診断支援ソフトウェアがクラスIII・高度管理医療機器に承認:医療機器ニュース
昭和大学は、AI(人工知能)内視鏡画像診断支援ソフトウェア「EndoBRAIN」が、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(医薬品医療機器等法)」に基づき、クラスIII・高度管理医療機器の承認を得たと発表した。
昭和大学は2018年12月10日、AI(人工知能)内視鏡画像診断支援ソフトウェア「EndoBRAIN」が、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(医薬品医療機器等法)」に基づき、同月6日にクラスIII・高度管理医療機器の承認を得たと発表した。
EndoBRAINは、内視鏡画像を解析し、医師による病変の診断予測を補助するソフトウェア。同大学横浜市北部病院消化器センター 教授の工藤進英氏らが、名古屋大学、サイバネットシステムと連携して、2013年から研究・開発を進めてきた。同ソフトウェアは、大腸の内視鏡画像情報をコンピュータ処理し、画像から腫瘍と非腫瘍の可能性を数値として出力する機能を持つ。内視鏡画像の取得には、オリンパスの超拡大内視鏡「Endocyto」を使用。Endocytoは、最大520倍の光学拡大機能を備え、リアルタイムに細胞レベルまで観察できる。
EndoBRAINが採用するAIは、機械学習手法の1種であるサポートベクターマシンに基づいて、約6万枚の内視鏡画像を学習している。臨床性能試験では、専門医に匹敵する正診率98%、感度97%という精度で腫瘍性ポリープと非腫瘍性ポリープを識別し、非専門医の正診率を上回った。ただし、EndoBRAINのAIは、市販後に自ら学習を繰り返し、性能が変化するタイプのAIではない。
今回、このEndoBRAINが、昭和大学横浜市北部病院をはじめとする国内5施設で実施した臨床性能試験を経て、クラスIII・高度管理医療機器として承認(承認番号:23000BZX00372000)を取得した。研究グループでは、EndoBRAINの使用により医師の内視鏡診断を支援し、診断精度の向上が期待されているとしている。
大腸がんは近年増加傾向にあり、効果的な対策が求められている。大腸内視鏡で早期がんや前がん病変の腫瘍性ポリープを切除することで、大腸がんによる死亡を大幅に減らせる。しかし、ポリープには、切除の必要がある腫瘍性ポリープと、そうでない非腫瘍性ポリープがあり、医師は検査中に両者を的確に判別する必要がある。
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