製造ERP会社を買収、中小製造業に「3DEXPERIENCE」を展開へ:製造ITニュース
Dassault Systemesは、アメリカのIQMSの買収に向けて取引を開始した。買収により、ダッソーの「3DEXPERIENCE Platform」を中小製造業向けに展開する。
Dassault Systemes(ダッソー)は2018年12月11日、アメリカのIQMSの買収に向けて、取引を開始したと発表した。買収額は4億2500万ドルで、取引の完了は2019年前半となる見込み。同社の買収により、ダッソーの「3DEXPERIENCE」プラットフォームを中小製造業向けに展開する。
IQMSは、オンプレミスのソフトウェア「EnterpriseIQ」やSaaSの「WebIQ」を通じて、エンジニアリングや製造、ビジネスエコシステムを一元管理するソリューションを中小製造業向けに提供している。このソリューションでは、発注処理、スケジューリング、生産、発送といった各プロセスのデジタル化とリアルタイムの接続が可能だ。同社のソリューションは、主にアメリカを拠点とする1000もの企業で利用実績があり、同社の2017年における収益は約5600万ドルだった。
ダッソーは、このIQMSのソリューションをクラウド版3DEXPERIENCEプラットフォームに統合する。これにより、中小製造業のビジネスを支援するコラボレーション環境の構築と製造効率性の向上などにつながるシステムを新たに提供する。こうしたシステムにより、ダッソーの3D CADソフトウェア「SOLIDWORKS」のユーザーでもある中小製造業の多くが、オペレーションをビジネスの成長に合わせて拡張できるようになるという。
また、ダッソーでは、SOLIDWORKSの提供とサポートを通して、中小企業市場でシェアを獲得している。今後、これを活用してIQMSの顧客基盤の拡張を支援する。
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