増える車載カメラ、各レンズの汚れに合わせて最適に自動洗浄するシステム:安全システム
クラリオンは2018年12月27日、車両に複数台搭載されるカメラを、個々に自動洗浄する「Multi Camera Washing System(マルチ カメラ ウォッシングシステム)」を開発したと発表した。
クラリオンは2018年12月27日、車両に複数台搭載されるカメラを、個々に自動洗浄する「Multi Camera Washing System(マルチ カメラ ウォッシングシステム)」を開発したと発表した。カメラのレンズの汚れを画像として検知し、カメラごとの汚れに合わせて最適に洗浄する。将来的には、カメラだけでなくLiDAR(Light Detection and Ranging、ライダー)も洗浄対象とする計画だ。
自動運転システムや高度な運転支援システムは、周辺環境の認識に多数のセンサーを必要とする。カメラやLiDARといった光学系のセンサーは雨や泥、虫などの表面の汚れによって検知性能が低下してしまう。開発した自動洗浄システムにより、自動運転システムによる制御の継続を支援するとともに、洗浄液の消費量を抑制して洗浄液補充の手間を低減する。
クラリオンは既に、1カメラを洗浄するシステムを製品化している。今回発表した自動洗浄システムは、従来の技術を拡充し、複数のカメラの汚れを検知する機能を含めたカメラECUを開発。これによってカメラごとの汚れを検知し、洗浄液とエアの供給装置を制御するポンプECUにレンズの汚れの情報を伝達する。ポンプECUは汚れに合わせて洗浄液やエアの供給装置と電磁弁を制御する。
クラリオンは日立製作所の連結子会社から外れ、フランスの大手サプライヤーであるフォルシアの傘下に入る。日立製作所はフォルシア子会社が2019年1月下旬から行う公開買い付けに、保有するクラリオンの普通株式を全て応募する。日立製作所と日立オートモティブシステムズは、車両の制御にリソースを集中させていく。
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