TSN技術を採用した産業用オープンネットワーク対応FA製品を開発へ:FAニュース
三菱電機は、産業用オープンネットワークの通信規格「CC-Link IE TSN」に対応するFA製品を開発する。対応製品群により、同社のFA統合ソリューション「e-F@ctory」を強化する。
三菱電機は2018年11月27日、産業用オープンネットワークの通信規格「CC-Link IE TSN」に対応するFA製品を開発すると発表した。対応製品の発売は2019年春以降を予定している。
CC-Link IE TSNは、Ethernetをベースとする産業用オープンネットワークの通信規格。TSN(Time Sensitive Networking)は、複数の異なるネットワークが混在し、制御通信と情報通信が混在する時でもリアルタイムな制御通信を保証する技術だ。
同社は、TSN技術を採用したCC-Link IE TSNに対応するPLC(プログラマブルロジックコントローラー)、産業用PC、サーボアンプ、表示器、インバータ、ロボットなどのFA製品を開発し、同社のFA統合ソリューション「e-F@ctory」を強化する。
開発する製品群は、同一のEthernetケーブル上において、制御通信と上位ITシステムとの情報通信が混在しても定時性を確保し、大規模で自由度の高いシステムを容易に構築できる。生産システムの制御に影響を与えることなく情報通信ができることから、ソフトウェアプラットフォーム「Edgecross」と連携したエッジコンピューティングシステムや、上位ITシステムとのシームレスな通信によるIoT(モノのインターネット)システムの構築も可能だ。
また、CC-Link IE TSNの高速制御通信によって、FAの製造装置やシステムのタクトタイムを短縮し、製造装置を制御するコントローラーがなくても、時間を無駄にすることなく、高精度にスレーブ機器間の同期制御を実行する。
さらに、ネットワークに接続されている機器を自動検出し、接続機器の追加やシステムの拡張、ユニット交換の際には、ネットワークパラメーターを自動で追従する。これらによって、システムの立ち上げに必要な工数や時間を大幅に削減する。
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