まだ形状のない設計初期で、設計要件と製造性を考慮した形状を自動生成する技術をCreoで:CADニュース(2/2 ページ)
PTCジャパンは2018年12月14日、ジェネレーティブデザイン技術を開発するフラスタムの買収と、CAEベンダーのアンシスとの協業について記者説明会を実施した。
アンシスとPTCのコラボで設計者CAEを今度こそ
PTCとアンシスは2018年6月に協業を発表している(関連記事:PTCとアンシスはなぜ提携したのか「両社は最適なパートナー」)。2社は、アンシスの設計者向けCAEソフトウェアである「Discovery Live」および「Discovery AIM」の技術をCreoと連携させようと開発を進める。Creo 6.0から「Creo Simulation Live」を提供すると発表している。
Discovery Liveは3D CADの画面から構造解析や流体解析が直接行え、複雑なアセンブリーデータであっても数秒ほどで結果が出せるという特長がある。解析にあたり、形状の簡略化をして、メッシュを切る作業が必要ない。通常のDiscovery Liveはダイレクト3Dモデラーの「SpaceClaim」を標準搭載しているが、Creo Simulation LiveはCreoの3D CAD環境で使えるので、パラメトリックモデリングをしながら解析を進めることが可能だ。
今後はDiscovery Liveの上位システムの設計者向けCAEであるDiscovery AIMの機能もCreoとつなげる予定だ。
設計段階で解析を活用する手法の有効性については何年も前から提言されてきていたが、それには設計プロセスやソフトウェア技術などに大きな課題があったことから、設計現場になかなか浸透してこなかった。これまでの設計現場では、設計形状がある程度完成してから解析を実施することが多かった。
PTC ワールドワイドCADビジネスデベロップメント シニアディレクターのグレッグ・ブラウン氏は「決して目新しい話ではない。当社を含むCADベンダー各社で3D CADの連携機能として解析を提供してきたものの、なかなか課題の解消ができなかった。かつ解析結果の表示には時間がかかり、設計者の置かれる時間軸に合わなかった。よって設計段階での解析の活用はなかなか実現しづらかった」と説明する。
ブラウン氏は「従来のCAEは専門性が高く、解析専任者に相談する必要があった。また実際の設計モデルをそのまま使えず、フィレットや詳細形状を削除してデータを用いるなど手間もかかった。反復検討の繰り返しがベースである設計業務には不向きであった」とし、アンシスとの協業でこの課題解消に取り組む。
Creoにフラスタムとアンシスの技術を掛け合わせ、設計プロセスの全体にわたり解析を適用させていくことを目指す。
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