TNGAフル活用のクロスオーバーSUV、「身長が低い人も自然に運転できる」:車両デザイン
トヨタ自動車は2018年11月27日、東京都内で会見を開き、レクサスブランドの小型クロスオーバーSUV「UX」を発売したと発表した。UXは2016年のパリモーターショーでコンセプトモデルが披露され、2018年春のジュネーブモーターショーで量産モデルとして発表された、レクサスブランドのラインアップに新たに加わる新型車だ。
トヨタ自動車は2018年11月27日、東京都内で会見を開き、レクサスブランドの小型クロスオーバーSUV「UX」を発売したと発表した。UXは2016年のパリモーターショーでコンセプトモデルが披露され、2018年春のジュネーブモーターショーで量産モデルとして発表された、レクサスブランドのラインアップに新たに加わる新型車だ。
TNGA(Toyota New Global Architecture)の車台「GA-Cプラットフォーム」の採用やボディーの高剛性化により、優れた操舵応答性と操縦安定性を実現したとしている。また、TNGAの一環で開発したパワートレインを採用する。ボディーサイズは全長4495×全幅1840×全高1540mmで、ホイールベースは2640mmとなる。
日本での発売を手始めに、欧米中国を含む80カ国に展開する。日本での販売価格は390万〜535万円。月間販売台数は900台を目標とするが、発売前の段階で5500台を事前に受注している。トヨタ自動車九州で生産する。
「セキュア」がデザインテーマ
GA-Cプラットフォームは「プリウス」「CH-R」と共通だが、ボディーはレーザースクリューウェルディングや構造用接着剤の使用部位拡大、ドア開口部の環状構造の採用によって剛性を高めた。パネルにアルミニウムを採用することで軽量化と低重心化も実現した。コラムシャフトは大径化し、ねじり剛性を高めたコラムアシスト式電動パワーステアリングを採用。サスペンションはフロントにマクファーソンストラット式、リアにダブルウィッシュボーン式を採用した。
エンジンやトランスミッション、ハイブリッドシステム、AWD(四輪駆動)システムもTNGAで開発したものとなる(※1)。UXは、排気量2.0lの直噴エンジンとCVT、または同排気量のハイブリッドシステムを設定する。
(※1)関連記事:トヨタが新型4WDシステム投入、エンジン車は後輪左右独立のトルクベクタリング / 排気量2.0lクラスのTNGAは2018年投入、CVTが大幅進化
デザインは「セキュア(※2)」をテーマとした。スピンドルグリルを起点にして立体的な厚みを持たせたボディーと、俊敏な走りを想起させる張り出したフェンダーにより、「大胆かつ洗練されたエクステリア」(トヨタ自動車)を実現したとしている。インテリアは運転の高揚感を演出するコックピットと、インストゥルメントパネルの上面を低く抑えたことによる視覚的な開放感が特徴だという。運転に集中できる操作系のレイアウトとした。センターコンソールは、体格を問わず使いやすいことを重視した。
(※2)安心な、危険のないという意味。SUVの力強さや守られている安心感、見晴らしのよさを表現している。
UXのチーフエンジニアでトヨタ自動車 常務役員、レクサスインターナショナル エグゼクティブバイスプレジデントの加古慈(かこ ちか)氏は、「UXを通じて豊かなライフスタイルを提供したい。今まで行かなかった場所に行ったり、クルマに合わせてこれまで着ていなかったような服を選ぶなど、生活の変化のきっかけになることを目指した」と語る。加古氏は自動車業界では珍しい女性のチーフエンジニアだが、「女性だからというマインドセットでクルマづくりをしたわけではない。男性のチーフエンジニアも、男性だからという気構えでクルマを作っているのではない」という。
「チーフエンジニアとして個性が出るとすれば、性別よりもどこにこだわるかだと思う。自分は、身長が低くても自然に運転できる点にこだわった。身を乗り出してのぞき込むようにしなくてもAピラー周辺の死角が少ないことや、身長160cmでドライビングポジションを合わせても、アームレストやセンターコンソールが違和感なく使えることを開発陣に訴えた。それが、結果的に女性である自分が手掛けたクルマの個性になることは考えられるが、初めから女性だからどういうクルマを作るということではない」(加古氏)
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