Toyota Safety Senseが世界累計1000万台達成、今後さらに32の国と地域へ:安全システム
トヨタ自動車は2018年11月26日、予防安全パッケージ「Toyota Safety Sense」の搭載車両がグローバルで累計1000万台の出荷を達成したと発表した。2018年内に、同システム搭載モデルの累計出荷台数は日本で300万台、北米で500万台に達する見通しだ。
トヨタ自動車は2018年11月26日、予防安全パッケージ「Toyota Safety Sense」の搭載車両がグローバルで累計1000万台の出荷を達成したと発表した。2018年内に、同システム搭載モデルの累計出荷台数は日本で300万台、北米で500万台に達する見通しだ。現在は、欧州、中国やアジアの一部、中近東、オーストラリアなど68の国と地域に導入済み。2020年までにアジア諸国や南米などを対象に導入を拡大し、総計で100の国と地域に普及させる。
Toyota Safety Senseは2015年3月から導入を開始。直近では、日米欧で販売する車両の9割が装着している。同システムの装着車両は、日本で最も多い事故形態である追突事故の発生率を7割減に減らすことが確認されている。駐車時など低速域で静止物を検知するパーキングサポートブレーキと組み合わせると、事故の発生率は非装着車両と比較して9割減少するとしている。
今後も、死傷事故への適応性拡大と普及、2つの方向性で取り組みを進める。死傷事故への適応性拡大の面では、2018年からToyota Safety Senseを第2世代に切り替え、自転車や夜間の歩行者の検知に対応した。また、第2世代からは車線維持支援機能も採用されている他、センサーの構成は単眼カメラとミリ波レーダーの組み合わせとなった。
第1世代では、単眼カメラとレーザーレーダーを使う「Toyota Safety Sense C」と、単眼カメラとミリ波レーダーで構成された「Toyota Safety Sense P」が設定されていた。第2世代の搭載が始まった後も、Toyota Safety Sense Cに相当するシステムは展開されており、昼間の歩行者の検知に対応するなど改良も行われている。そのため、Toyota Safety Senseの名称は第1世代と第2世代の総称として用いられている。
レクサスブランドでは、これまでToyota Safety Sense Pと同等の機能を「Lexus Safety System +」として展開してきた。Toyota Safety Senseが第2世代版に移行するのに合わせて、レクサスブランドでも同様の機能を持った「Lexus Safety System +A」の搭載を進める。現時点ではステレオカメラを搭載したフラグシップセダン「LS」のみの設定だが、自動でステアリングを制御して歩行者との衝突回避を支援する「アクティブ操舵(そうだ)回避支援」も予防安全パッケージの機能の1つとして用意している。
さまざまな車種に“モジュール”で対応可能に
トヨタ自動車はToyota Safety Senseのセンサーを複数のサプライヤーから調達している。そのうちの1社がデンソーだ。Toyota Safety Sense搭載車両の拡大に対応する中で蓄積したノウハウによって、今後さらに効率的に予防安全パッケージを展開する体制を整えた。
同社 専務役員で技術開発センター担当の加藤良文氏は「この2〜3年は、トヨタの拡大についていくのが大変だった。車両ごとの適合開発のため、取り付け位置の変化に合わせて1台ずつデータを取って対応していたからだ。今は、シミュレーションを使って、センサーフュージョンによってどんな機能を構成できるか、どんなソフトウェアやハードウェアを追加すると運転の自動化レベルが上がるか、モジュール化できるようになった。今後、かなり拡販に注力できる」と2018年10月の決算説明会でコメントしている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 「Toyota Safety Sense」が2018年から第2世代に、自動ブレーキが進化
トヨタ自動車は、予防安全パッケージ「Toyota Safety Sense」に新機能を追加した第2世代版を2018年から導入する。使用するセンサーは単眼カメラとミリ波レーダーで、現在のToyota Safety Sense Pと同じ構成となる。センサーの性能向上により検知対象を拡大するとともに、ユニットを小型化して搭載性を向上する。 - 「Toyota Safety Sense」第2世代、デンソーがセンサーの小型化を実現
デンソーは、運転支援システム向けに普及タイプの新型単眼カメラを開発した。トヨタ自動車の予防安全パッケージ「Toyota Safety Sense」の第2世代版で採用される。 - トヨタが2020年に実用化する高速道路自動運転、ルネサスのマイコンとSoCを採用
ルネサス エレクトロニクスは、トヨタ自動車が2020年の実用化を目指す高速道路向け自動運転システムに、車載コンピューティングプラットフォームのSoC(System on Chip)「R-Car H3」と車両制御用マイコン「RH850」が採用されると発表した。デンソーが開発するECU向けに供給する。 - デンソーがソニー製イメージセンサーを採用、夜間の歩行者検知が可能に
デンソーは、運転支援システムなどに用いられる車載用画像センサーにソニー製イメージセンサーを採用することで、夜間の歩行者認識が可能になったと発表した。 - トヨタが満を持して投入した「Toyota Safety Sense」は“普及”こそが使命
トヨタ自動車が2015年4月から導入を始めた新開発の運転支援システム「Toyota Safety Sense(TSS)」。安価で高機能なこともあり、市場から高い評価を受けている。そこで、TSSの開発を担当したトヨタ自動車 制御システム開発部 第2制御システム開発室長を務める山田幸則氏に、TSS開発の背景などについて聞いた。 - レクサス「LS」は2017年秋発売、衝突回避の新技術はステレオカメラがカギ
トヨタ自動車は、レクサスブランドのフラグシップセダン「LS」の新モデルに搭載予定の予防安全技術を発表した。従来の予防安全パッケージ「Lexus Safety System+」と同等の機能に新技術を追加し、「Lexus Safety System+ A」として日米欧向けに設定する。LSの全面改良は2017年秋を予定している。 - 「トヨタと今まで以上に距離縮める」、デンソーら4社の新会社が担う役割とは
デンソーは2018年10月31日、東京都内で開いた決算説明会において、アイシン精機、アドヴィックス、ジェイテクトと立ち上げる新会社の狙いについて言及した。