つながる工作機械を推すマザック、クラウドとオンプレの両輪で戦う:JIMTOF2018(2/2 ページ)
ヤマザキマザックは2018年11月2日、IoT(モノのインターネット)を活用したコネクテッドサービス「Mazak iCONNECT(マザック アイコネクト)」について、2019年4月から提供を開始すると発表した。
オンプレとクラウドの両環境で“つながる価値”を訴求するマザック
ヤマザキマザックとシスコシステムズの協業は、工作機械と外部を接続しスマートファクトリー化を推進する仕組みづくりを目的に始まった。協業の初成果は工場用ネットワークスイッチ「MAZAK SMARTBOX(マザックスマートボックス)」の開発で結実し、同製品は2016年11月から販売開始している。
MAZAK SMARTBOXは、工作機械向けオープン通信プロトコル「MT Connect(MTコネクト)」によって古い機械やセンサーを含むさまざまな工場内設備でファクトリーネットワークを構成する。このファクトリーネットワークはMAZAK SMARTBOXを介して事務所内などに広がる一般的なオフィスネットワークに接続でき、オンプレミスな環境でも機器の稼働状況見える化や分析など、“つながる工作機械”の価値を提供できることがメリットだ。
このようにヤマザキマザックとシスコシステムズの協業では、これまで工場現場のエッジやフォグといったデバイス環境でつながる価値を提供してきた。そして今回発表されたiCONNECTによって、クラウド活用を含めたトータルソリューションでつながる価値を訴求できるようになった。
堀部氏は、つながる工作機械サービスにおけるオンプレミスとクラウドの使い分けについても「クラウドに稼働データの全てを収集、処理するという考え方よりも、われわれはある程度デバイス側で間引いたデータをクラウドで処理するという考え方を取っている」と説明。「大容量データはSMARTBOXを用いて顧客のオンプレミス環境で安全に解析できるが、その解析のきっかけとしてiCONNECTの診断機能を役立ててほしい」(堀部氏)とした。
また、iCONNECTによって「今後の熟練技能者が不足するという問題がある中で、われわれが持つ工作機械の操作ノウハウを提供する」ことも検討中とし、「われわれからクラウドを通じて、機械のチューニングパラメータや加工プログラムを送信することも可能だ。また、コネクテッドカーのように工作機械のソフトウェアアップデートなども行い、機械自体の性能向上もできる」と今後の可能性を示した。
iCONNECTの事業目標については「ルーター台数ベースで初年度1000台程度を目指す。われわれの年間生産台数と比べると少なく思えるかもしれないが、まずはパイロットユーザーを増やして認知度を上げていきたい」(堀部氏)としている。
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