顧客の困りごと解決に手段を選ばない、パナソニックの現場プロセスイノベーション:製造業がサービス業となる日
パナソニックは、初の全社ユーザーイベント「CROSS-VALUE INNOVATION FORUM 2018」において、コネクティッドソリューションズ社(CNS社)が推進している「現場プロセスイノベーション」の最新成果を披露した。
パナソニックは、初の全社ユーザーイベント「CROSS-VALUE INNOVATION FORUM 2018」(2018年10月30日〜11月3日)において、コネクティッドソリューションズ社(以下、CNS社)が推進している「現場プロセスイノベーション」の最新成果を披露した。
2017年4月に発足したCNS社では、製造、物流、流通などの現場業務の生産性向上と継続的な価値創出を目指す「現場プロセスイノベーション」の提案を強化している。CNS社傘下のパナソニックスマートファクトリーソリューションズが扱う表面実装機を中核とする回路基板の実装ライン向けで培った、顧客の現場における困りごとに応えるノウハウを広く展開していくことが狙いだ。
現場プロセスイノベーションに展示されたのは「食品工場生産ライン自動化」「自動搬送システム」「入出庫効率化ソリューション」「欠品検知ソリューション」「DATA DRIVEN STORE MANAGEMENT」の5つ。
食品工場生産ライン自動化は、弁当の製造プロセスのうち、これまで人手に頼っていた蓋掛けや中皿セット、商品移載などを自動化するソリューションだ。FAシステム設計ベンチャーのスキューズが開発したもので、導入から既に4年近くの実績がある。パナソニックが担当するのは、販売とサービス、メンテナンスであり、現時点でパナソニックの技術が入っているわけではない。
一方、自動搬送システムは、物流倉庫で広く用いられているカゴ台車向けにパナソニックが自社開発したAGV(無人搬送車)がソリューションの中核となる。2019年2月の発売を目標に開発を進めているところだ。AGVの最大の特徴は、カゴ台車の底部の空間に入り込める薄さにある。一般的なカゴ台車底部の床からの高さは約17cmだが、パナソニックが開発しあAGVの高さは13.2cm。この薄さにより、カゴ台車の底部に入り込んでから持ち上げ、自動搬送することが可能になった。AGVの自己位置推定は、倉庫内の電子地図とLiDARによるセンシングで行い、決まった位置に配置しておくカゴ台車を搬送する。
これら2つのソリューションは、食品工場生産ライン自動化がパナソニック自前の技術を一切使っていないのに対し、自動搬送システムは自社開発である点が対照的だ。「現場プロセスイノベーションを提案する上で最も重要なのは、顧客の現場の困りごとをいかにして解決するかだ。そのために良い技術が既にあるならそれを使うし、カゴ台車に最適なAGVのように最適な技術がないのであれば開発する」(パナソニックの説明員)という。
入出庫効率化ソリューションは、パナソニックが2017年7月に買収したZetes Industriesの技術になる。展示では、ベルトコンベヤーに載せた多数の段ボール箱のQRコードをカメラで一括で読み取れるデモを披露。出庫すべきではない段ボール箱がある場合には、アラートで知らせるようになっている。実際の現場では、フォークリフトを用いた入出庫作業を、フォークリフトを止めずに行うことを想定している。国内では展示会などで提案している段階で「引き合いは多数あり、早く提供できるよう準備を進めたい」(パナソニックの説明員)としている。
欠品検知ソリューションでは、店舗の商品陳列映像をクラウドで解析し、欠品状態から欠品間近、商品が十分ある、の3段階に分けて知らせる。パナソニックは多くの店舗に監視カメラが採用されており、その商流を生かして在庫管理システムにつながるソリューションとして提案していく。
Data Driven Store Managementは、欠品検知ソリューションのように、画像解析やセンシング技術を用いた顧客行動分析、需要予測、店内プロモーション提案、売り場パフォーマンス分析、サービスボトルネック予測、店舗改善提案といった個別のソリューションをそろえ、それらを連携することで店舗運営の効率化や売上向上に貢献していくコンセプトになる。
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