「ロボットはPCと同じ道をたどる」PFNが描くロボットの将来像:CEATEC 2018(2/2 ページ)
「CEATEC JAPAN 2018」(2018年10月16〜19日、千葉県・幕張メッセ)の基調講演にPreferred Networks(以下PFN)代表取締役社長兼最高経営責任者の西川徹氏が登壇。「全ての人にロボットを〜Robots for Everyone」をテーマに講演した。
パーソナルロボットが生活を支える世界へ
産業用ロボットから協働ロボットの出現により、ロボットの活動の場は工場の枠を飛び出して、さまざまな場所に広がりつつある。同時に、ホビーロボットや教育用ロボットが登場して、普及しつつある。この延長線上にあるのが、さまざまな実世界のタスクをこなし、世界中のありとあらゆる場所で活躍するパーソナルロボットだと西川氏は予測する。
西川氏は、パーソナルロボットがPCのような汎用性や使い勝手、市場の広がりを実現するキーポイントとして「ロボットは実世界の環境を対応できるようにすることが必要であり、多様な環境を抽象化し、一般化することが最も重要となる。これができれば、ロボットの市場が大幅に拡大できる」としている。
また「この時に、必要な技術要素がディープラーニングであり、ロボティクス技術と融合することによってさまざまな環境に自由に対応できるロボットを作っていきたい」と意欲を示した。
同社ではパーソナルロボットの世界を実現するための開発を進めており、CEATEC JAPAN 2018では、その一環として「全自動お片付けロボットシステム」を出展している※)。
※)関連記事:PFNが全自動お片付けロボットで示した可能性、2020年投入の開発ツールで具現化
トヨタ自動車が開発する「生活支援ロボットHSR(Human Support Robot)」を使い、従来の物体認識やロボット制御技術では困難だった「散らかった部屋の全自動お片付け」のデモンストレーションを実施した。
ロボットが、乱雑に置かれた洋服、おもちゃ、文房具など、家庭にあるさまざまな物体を認識してつかみ、所定の場所に片付けていく。また、ロボットに対して人が口頭やジェスチャーで片付け指示を出すなど、直感的なコミュニケーションによるロボット操作も披露した。
この家庭用の片付けロボットを実現する上での最大の課題も、先に述べたさまざまな環境に対応することだという。例えば、物流倉庫、工場であれば、ロボットに環境を合わせるということも可能だが、一般家庭ではそれが難しい。この問題に対して、さまざまシチュエーションを用意し、そのデータを多数集めて学習させることで、柔軟に適応することを目指した。
その中の技術の1つが物体検出技術であり、同社では、2018年7月に新しく構築したNVIDIA Tesla V100 32GB 512基の大規模クラスタ「MN-1b」を初めてフル稼働させたという。さらに、深層学習を並列化して大規模データセットでの学習を高速化する技術や、自動運転、ロボティクスの各分野で培ってきた研究成果を総合的に活用した。この成果は8月に開催された物体検出コンペティション「Google AI Open Images - Object Detection Track」で出場した454チーム中で2位になるなど高い評価を受けたとしている。
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