PFNが全自動お片付けロボットで示した可能性、2020年投入の開発ツールで具現化:CEATEC 2018
ベンチャー企業のPreferred Networks(PFN)は、「CEATEC JAPAN 2018」において、散らかった部屋の中のさまざまなモノを片付ける「全自動お片付けロボットシステム」を披露した。現在同社で開発を進めているパーソナルロボットシステムの技術デモとなる。
ベンチャー企業のPreferred Networks(PFN)は、「CEATEC JAPAN 2018」(2018年10月16〜19日、幕張メッセ)において、散らかった部屋の中のさまざまなモノを片付ける「全自動お片付けロボットシステム」を披露した。現在同社で開発を進めているパーソナルロボットシステムの技術デモとなる。
PFNの出展ブース全体が、住宅のリビングルームを模した作りになっており、その床には衣服やおもちゃ、文房具をはじめさまざまなモノが散らかっている。この居間の中にいる2台のロボットは、散らかったモノの種類を認識して、ロボットハンドでつかみ(ピッキング)、つかんだモノに最適な場所(ペン立てや机の上、洗濯かご、ごみ箱など)に片付ける(プレース)。1つのモノの片付けを終えると、自動的に次のモノの片付けに進むので“全自動お片付け”になるわけだ。
全自動で片付けを行う他、音声やジェスチャーによる人間からの指示に合わせて片付け内容を変更することもできる。例えば、指示題代名詞とジェスチャーを用いた「それはここに捨てて」という指示にも対応する。
ロボットにはトヨタ自動車が開発した生活支援ロボット「HSR(Human Support Robot)」を用いた。部屋の中に散らかっているさまざまなモノの認識は、展示ブースの裏側に設置したサーバに組み込んだ画像認識エンジンと、天井に設置した4台のカメラの画像データを用いて行っている。画像認識結果を基に、片付けるモノを選び、モノの種類に合わせたつかみ方や片付け方を計画し、Wi-Fiでロボットに指示を送る。また、モノの状態や置かれ方はロボット側のカメラで認識しており、ロボットハンドできちんとつかめるように最適な制御を行う。
画像認識エンジンは、PFNの深層学習(ディープラーニング)フレームワーク「Chainer」や「Chainer MN」、「Chainer CV」を用いたCNN(畳み込みニューラルネットワーク)で実現されている。物体検出コンペティションで世界2位の成績を収めた「PFDet」を拡張したモデルを用いた、同社が導入した大規模GPUクラスタ「Mb-1」で学習を行った。また、音声やジェスチャーによる人間からの指示への対応についても、これまでに開発を進めてきた音声認識エンジンや自然言語処理の開発成果が反映されている。「深層学習によって、ロボットに必要な『目』と『耳』を開発することができた」(PFNの説明員)という。
これまでPFNが深層学習を基に開発してきたAI(人工知能)は、工場や医療などといったB2B向けでの展開が中心だった。それに対して、今回の「全自動お片付けロボットシステム」はB2C向けとなる。
PFN 共同創業者で副社長の岡野原大輔氏は「部屋の片付けという作業は、パーソナルロボットを実用化する上で求められるさまざまな要素が含まれており、B2C向けの技術開発で最初に取り組むべきと考えていた。ピッキング、プレースを含めてロボットの要素技術はかなり高まっているが、実際にB2C向けロボットが広く導入されるようになるには、それらの技術のさらなる成熟が必要になる。PFNとしては、B2C向けロボットの開発を加速できるように、2020年ごろをめどにパーソナルロボットのAI開発ツールを用意したい」と述べている。
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