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AI×IoTのブレークスルーを生み出すPreferred Networks、原動力は成長と多様性製造業IoT(1/2 ページ)

ベンチャー企業のPreferred Networks(PFN)は、時代に先駆けてAIとIoTに着目することで一気に業容を拡大している。同社の原動力になっているのは、創業精神として今も続く「常に新しく技術を取り込んでいく成長」と「多様性」だ。

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 現在、製造業から注目を集めているAI(人工知能)とIoT(モノのインターネット)。日本発のベンチャー企業であるPreferred Networks(PFN)は、時代に先駆けてAIとIoTに着目することで一気に業容を拡大している。2014〜2015年にかけて、NTT、ファナック、トヨタ自動車などトップ企業の出資を受け、同時期に発表したディープラーニング(深層学習)のフレームワーク「Chainer」の採用も広がっている。

 そのPFNが2017年7月24日、東京都内でプレス説明会を開催した。本稿では、同社社長兼CEOの西川徹氏、取締役副社長の岡野原大輔氏による説明内容を中心に、PFNの事業方針や、同社が注目する技術トレンドなどについて紹介する。

大きな転機をもたらしたファナックとの出会い

PFNの西川徹氏
PFNの西川徹氏

 西川氏は、PFNの成り立ちや企業の目指す方向性について説明した。PFNの母体となったのが、西川氏や岡野原氏が2006年に創業したPreferred Infrastructure(PFI)だ。PFIでは当初、「未踏プロジェクト」に関わる検索エンジンの事業化を目指していた。西川氏は「PFIで重要視していたのは『常に新しく技術を取り込んでいく成長』と『多様性』。この2つの文化はPFNにおいても最も重要な価値観となっている」と語る。

 PFIで手掛けていた検索エンジンは、その裏で自然言語処理が必要になる。そこで関わるようになった技術が機械学習だ。そして、NTTと共同で自然言語処理向けのリアルタイム機械学習処理系「Jubatus」を開発したものの、あまり需要が見えてこなかった。

 その時期から2012〜2013年にかけて、現在のAIとIoTのブームにつながる大きな変化が起こっていた。AIについては深層学習による一般物体認識性能の劇的な向上が起こった。また、IoTが生み出すデータ量が、人が生み出すデータ量と比べものにならないほど大きな規模になっていることも認識されつつあった。ただし当時は、「今では深層学習と切っても切れない関係とされるIoTの世界で、深層学習は広く認知されていなかった。そこで今後のIoTに最適なコンセプトとして考え出したのが『エッジヘビーコンピューティング』だ」(西川氏)という。

 これらの深層学習、IoT、エッジヘビーコンピューティングの事業を加速するため、2014年3月にPFIからスピンオフする形で創業されたのがPFNである。

 とはいえ、PFNが当初考えていたアプリケーションは「監視カメラによるマーケティング」であり、出自とするIT業界からそれほど大きく踏み出すものではなかった。そんなPFNに大きな転機をもたらしたのが、産業制御機器大手のファナックとの出会いだ。西川氏は「黄色いロボットが黄色いロボットを作り続ける姿に衝撃を受けた。AIとIoTの時代においてデータを誰が握るかが重要だが、電源を入れるとデータを生み出し続けるロボットに大きなチャンスがあると考えた」と強調する。

ファナックとの出会いが大きな転機をもたらした
ファナックとの出会いが大きな転機をもたらした(クリックで拡大) 出典:PFN

 そしてファナックとの協業を経て、深層学習を制御に応用したいと考えるようになった。「深層学習とIoTを結び付けるには、制御に踏み込む必要があった。そうすると制御するデバイスのことをよく知ってチューニングしなくてはならない。しかし、そこから得られるものも多い」(西川氏)。例えば、2016年1月の「CES 2016」では、トヨタ自動車とともに「ぶつからないクルマ」のデモンストレーションを披露している。2016年7月のロボットコンテスト「アマゾン・ピッキング・チャレンジ」では1位と同スコアの2位に入ることができた。

 さらに「波に乗るだけでなく、波を作り出す」(西川氏)ため、深層学習をさらに進化させられるフレームワークとしてChainerを発表している。

 西川氏は「製造業の世界でも、ITの世界でも大きな変化が起こりつつある。双方の波を重ね合わせてより大きな波を作り出したい。だからこそ、ITの専門家だけでなく、さまざまな産業の専門家も社内に抱える多様性が重要だと考え、そういった人材を集めている。われわれはソフトウェアの会社ではない。ソフトウェアとハードウェアの切り分けが曖昧になっていく中で、大きな変化の主役になりたい」と成長に向けた意思を表明した。

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