切粉滞留対策を採用、高い環境性能と生産性を両立した小型マシニングセンタ:FAニュース
ブラザー工業は、小型マシニングセンタ「SPEEDIO」の新製品「S300X2」「S500X2」「S700X2」を発表した。主軸の低慣性モーターや新たな切粉滞留対策の採用など、生産効率の向上に寄与する機能を強化している。
ブラザー工業は2018年10月4日、小型マシニングセンタ「SPEEDIO(スピーディオ)」の新製品として「S300X2」「S500X2」「S700X2」の3機種を発表した。同年11月1日より販売を開始し、価格はS300X2が703万円、S500X2が725万円、S700X2が779万円(いずれも税別)だ。
新たに発売する3機種は、2013〜2014年にリリースされたX軸移動量が300mmの「S300X1」、500mmの「S500X1」、700mmの「S700X1」の後継機種。高い環境性能はそのままに生産性と信頼性を高め、自動車、二輪車、一般機械など幅広い量産部品加工において生産効率の向上に寄与する。
主軸に低慣性モーターを採用することで、主軸の起動や停止に要する時間を削減するとともに、工具交換動作や、早送り、動作のつなぎ部分の処理などを最適化することで速度低下を抑えている。非切削時間の目安となる「Chip to Chip1.3秒」を達成し、部品1個あたりの加工時間を従来比で約3%短縮した。
加工室内の切粉滞留対策として、XY軸に切粉が流れやすい山形テレスコカバーを採用。また、オプションのサイクロンフィルター付きクリーン槽内蔵タンクは、あらかじめ細かな切粉を分離除去できるため、フィルターやポンプの寿命向上に寄与する。
近年は、自動制御システムの搭載を前提とした機械のニーズが高まっており、新シリーズでは制御盤サイズを大型化し、ユーザーが自由に使用できる盤内エリアを拡張した。他にも、主軸からの工具の脱落を防止する工具交換時の監視機能などを追加している。
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