いまさら聞けない「自動運転のレベル」:5分で読める簡単解説(2/2 ページ)
運転がどの程度自動化されているかをレベルによって表現することが業界では定着していますが、意外と分かりにくいのではないでしょうか。この「自動運転のレベル」とは何かを5分で分かるように簡単に分かりやすく解説します。
絶対に事故を起こさない自動運転を目指して
先ほど出てきた限定領域について、国土交通省 自動車局が2018年9月に発表した「自動運転車のための安全技術ガイドライン」を紹介していきます。同ガイドラインは、さまざまな国際基準が策定されるまでの間、開発途上であるレベル3〜4の自動運転車が安全に実用化されていくよう、自動運転車が満たすべき安全性の要件をまとめたものです。
同ガイドラインでは現在、レベル3以上の自動運転は、あらゆる道路環境や気象条件で完全に安全な走行が行える技術水準には至っていないと見なしています。そのため、「運行設計領域(ODD)」の設定により、「自動運転システムが引き起こす人身事故であって、合理的に予見される防止可能な事故が生じないこと」を確保するよう求めています。
ODDでは、道路条件(高速道路か一般道か、車線数は幾つか、車線の有無は、自動運転車の専用道路かどうかなど)、地理条件(都市部か、山間部か、ジオフェンスはあるかなど)、天候や夜間など環境条件について、自動運転システムが機能できる範囲を制限することが要件となります。速度制限、インフラとの協調を行うかどうか、走行ルートを特定の経路のみにするか、保安要員は乗車するのかどうかなどについても、条件の設定が必要です。
さらに、ODDの範囲外となった場合や、範囲外になりそうな場合、自動運転車に障害が発生したなどのケースで、最終的に車両を安全に自動で停止させることが必要だとガイドラインに明記されています。そのためには、ODDの範囲内であることを確実に認識すること、自動運転の継続が困難な場合はドライバーに運転に戻るよう求め、安全に運転を引き継ぐことが求められます。運転が確かに引き継がれたことをシステムで判別できるようにしたり、運転が引き継がれない場合に周囲に警報を発しながら安全に停止させる「ミニマルリスクマヌーバー(MRM)」を設定したりすることも必要です。こうした要件に合わせたヒューマンマシンインタフェース(HMI)を備えることも重要になります。
ガイドラインの内容は基本的な考え方を示したものであり、今後の技術開発や国際基準の動向を踏まえて適宜見直されるということです。
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