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いまさら聞けない「自動運転のレベル」5分で読める簡単解説(1/2 ページ)

運転がどの程度自動化されているかをレベルによって表現することが業界では定着していますが、意外と分かりにくいのではないでしょうか。この「自動運転のレベル」とは何かを5分で分かるように簡単に分かりやすく解説します。

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 運転がどの程度自動化されているかをレベルによって表現することが業界では定着していますが、意外と分かりにくいのではないでしょうか。この「自動運転のレベル」とは何かを5分で分かるように簡単に分かりやすく解説します。

レベルは0から5まで


写真はイメージです(クリックして拡大)

 たいていの場合、自動運転のレベルと言った時には米国自動車技術会(SAE)が定めたものを指します。SAEが定義した自動運転のレベルは、0〜5の6段階です。過去には米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)とSAEが定義した自動運転のレベルがあり、日本はNHTSAの定義を基にしていた時期もありました。しかし、バラバラの定義で自動運転の議論を進めるのはよくないということになり、日米欧で統一してSAEの定義が採用されています。

 それぞれのレベルがどの程度の自動運転を表すのか見ていきましょう。まず、レベル1は「システムが縦方向(加減速)、または横方向(ステアリング操作)のいずれかの車両運動制御のサブタスクを、限定領域において実行することができるクルマ」だとされています。具体的には、緊急自動ブレーキや、車線に沿ったステアリング操作をアシストする車線維持支援、前方車両に合わせて加減速を行うアダプティブクルーズコントロールなどがあります。レベル0はこうした機能が1つもついていないクルマが該当しますので、現在、日本で販売されているクルマの多くはレベル1に当てはまります。

 レベル2は「システムが縦方向(加減速)および横方向(ステアリング操作)の車両運動制御のサブタスクを限定領域において実行するクルマ」です。つまり、車線維持支援とアダプティブクルーズコントロールを同時に行うようなことができるクルマを意味しており、高級車を中心にレベル2の自動運転機能が普及し始めていることが分かります。また、最新の商用車でも、レベル2の機能を採用することが発表されています。

 しかし、多くの自動車メーカーはレベル2を「自動運転」とは呼びません。システムが作動中でも、ドライバーはステアリングに手を添え、レベル0のクルマを運転している時と同じように周辺を確認する必要があるからです。これは、「自動運転」という言葉の響きから想像できるものとは違いますね。そのため、機能に対する誤解や過信を招かないように、自動車メーカーは自動運転という表現に慎重になっています。

運転の主体がシステムに代わる、レベル3以降

 レベル3〜4の前に、レベル5について紹介しましょう。レベル5は「完全自動運転を行うクルマ」です。システムは全ての動的運動タスクを担い、作動継続が困難な場合への応答も実行します。無人でも走行できることを意味しています。レベル1〜4についてSAEは限定領域においてシステムが動作することと定義していますが、レベル5については特に制限がありません。

 レベル3とレベル4は、レベル5と同様にシステムが全ての動的運転タスクを実行しますが、何らかの要因で作動継続が困難な場合に違いがあります。レベル4は、作動継続が困難な場合の応答もシステム側で実行しますが、レベル3はシステムの要請にドライバーが応答する必要があります。

 定義自体は定められており、さまざまな実験車両も公開されていますが、レベル3以上の自動運転車が公道を走るには幾つかのハードルがあります。アウディは「世界初」をうたってレベル3の自動運転車として「A8」の新モデルを発表しましたが、レベル3の機能を公道で使える市場はまだありません。現在、レベル3以上の自動運転に関して、国連欧州経済委員会では時速10km以上の速度域での自動操舵(そうだ)の扱いについて議論されており、ジュネーブ条約やウィーン条約では、人間ではなくシステムが運転することについて議論されています。

 ちなみに、アウディのレベル3の自動運転システムは、中央分離帯がある道路を時速60km以下で走行している渋滞中の場合に、センターコンソールのスイッチを押すと有効になるという限定領域が設定されています。渋滞が解消したり走行速度が時速60kmを超えたりすると、ドライバーは運転に復帰しなければなりません。

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