アウディもトレースエラーの扱いに不備、改ざんなしで原因は人為的ミス:製造マネジメントニュース
アウディジャパンは2018年9月28日、東京都内で会見を開き、ドイツの3工場で日本市場向けにアウディ本社が実施した排ガス、燃費の抜き取り検査において、「トレースエラー」を有効なデータとして処理していたことを発表した。
アウディジャパンは2018年9月28日、東京都内で会見を開き、ドイツの3工場で日本市場向けにアウディ本社が実施した排ガス、燃費の抜き取り検査において、「トレースエラー(※)」を有効なデータとして処理していたことを発表した。4年間に測定した692台中、37台でトレースエラーが無効になっていなかった。燃費値や排ガスの測定結果は、トレースエラーのデータを含めても除外しても同等の範囲内にあり、基準値を満たしていた。
(※)燃費や排ガスの測定でJC08モードやWLTPモードで走行する際、指定された速度の範囲から外れてしまうこと。一定の秒数や回数を超えて指定速度を逸脱すると、測定としては無効となる。
同年7月に国土交通省から指示された完成検査の社内調査に関する報告となる。アウディジャパンは本国との連絡に時間がかかり、報告が遅れていた。
本国での調査によって、測定結果を社内のデータベースに伝送する工程で、システム画面上でトレースエラーとなるデータを「無効」と設定していなかったことが明らかになった。意図的に有効なデータとして伝送していたのではなく、オペレーターの操作ミスだったという。調査対象期間にはトレースエラーを無効なものとして処理した件数が92件あり、今回報告したトレースエラーの不適切な扱いは、現場の知識不足などによる判定ミスではないとしている。
今回、アウディ本社は2014年7月〜2018年7月に実施された抜き取り検査について不適切な取り扱いがないか調査した。当該期間の検査件数は692件となる。このうち、37件でトレースエラーが有効なデータとして扱われていた。温度や湿度、設備の設定など測定条件に関する記録を調べたところ、指定された条件を守って測定されていたことが分かった。また、調査対象期間よりも以前から、システム上で測定値や記録を変更できないようロックがかかっていたことから、測定データや試験条件の書き換えは行われていなかったとしている。
再発防止策として、測定データの有効性を判定する時に、走行データや測定条件の記録を複数人のオペレーターでチェックする体制を2018年8月6日週から開始した。これにより、システム画面上で有効、無効の選択ミスが起こるのを防ぐ。また、オペレーターの作業を簡略化し、有効性の判定に集中できるようにするため、同年8月27日週から測定結果を自動的にデータベースに送信するシステムに切り替えた。今後は、トレースエラーの場合にシステム上で自動的に測定結果を無効として判断し、記録する機能を追加していく計画だ。
アウディ本社ではインゴルシュタット工場、ネッカースウルム工場、エムデン工場の3カ所で排ガス、燃費の抜き取り検査を実施している。ネッカースウルム工場は「A6」「A7」「A8」の生産と抜き取り検査を担当する。インゴルシュタット工場では、ネッカースウルム工場の生産品目と「Q5」を除く全ての車種の抜き取り検査を、エムデン工場ではメキシコ工場で生産したQ5の抜き取り検査を2017年モデルから実施している。
日本市場向けの車両は、上記の3工場で燃費や排ガスを測定した上で出荷される。輸送された車両は愛知県豊橋市にあるインポートセンターで燃費、排ガス以外の項目で完成検査を実施し、販売店に届く流れになっている。
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