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全てデータ調べたはずが残っていた、国交省がスズキに遺憾の意製造マネジメントニュース(1/2 ページ)

国土交通省は2018年9月26日、スズキに対し、完成検査に関する不適切事案の徹底調査と、再発防止策の策定を自動車局長名で指示した。同年8月末の国土交通省の立ち入り検査を踏まえてスズキが改めて社内調査を実施したところ、新たに482台のトレースエラーがあったことが判明した。測定値や試験条件の書き換えや、データが残っていないと説明した二輪車についてもトレースエラーが見つかった。

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 国土交通省は2018年9月26日、スズキに対し、完成検査に関する不適切事案の徹底調査と、再発防止策の策定を自動車局長名で指示した。

 スズキは同年8月9日、完成検査の工程の1つである燃費と排ガスの抜き取り検査について、正しい条件で測定できなかったデータ(トレースエラー)を有効なものとして扱う検査不備があったと発表した。その時点では、トレースエラーを有効なデータとして扱ったのみで、数値などの書き換えなどは行っておらず、燃費や排ガスの測定結果をよく見せるための不正ではなかったとしていた。また、調査についても、測定設備に残っているデータ全てを対象にしたと公表していた。

 しかし、同年8月末の国土交通省の立ち入り検査を踏まえてスズキが改めて社内調査を実施したところ、新たに482台のトレースエラーがあったことが判明した。再調査によって、「やっていない」と公表していたはずの測定値や試験条件の書き換えが発覚し、データが残っていないと説明した二輪車についてもトレースエラーが見つかった。スズキはこうした結果や、トレースエラーを有効なものとして扱った原因に関する完成検査員の証言を国土交通省に報告した。


前回と今回のトレースエラー台数の比較(クリックして拡大) 出典:スズキ

ないと思っていたデータが出てきた


スズキの鈴木俊宏氏

 スズキは2018年9月26日、東京都内で会見を開き、国土交通省への報告内容を発表。会見に出席したスズキ 社長の鈴木俊宏氏は、8月9日に公表した調査結果が不十分なものだったと説明した。その結果、新たな完成検査の不正が判明する結果となった。

 当時の意図を聞き出すヒアリングが十分にできていなかった他、社内の記録を調査する際に指示が行き届いておらず、確認すべき項目を見落としていた。また、検査設備に関する知識が社内になく、燃費や排ガスの測定装置メーカーの助言によって、当初の調査では分からなかったデータの格納場所を把握した。これにより、前回の報告からさかのぼった期間のデータについても入手したという。

 当初、データの書き換えはしていないと説明していたのは、試験条件の数値について補正は行ったが不正ではないと検査員が判断し、書き換えには該当しないと回答したためだとしている。しかし、再調査で検査員が申し出たことなどにより、データの書き換えがあったことが判明した。

 スズキは当初の報告では、測定装置に保存された電子データを試験番号で照合することにより、抜き取り検査の記録からトレースエラーの結果を洗い出した。電子データは、試験ごとに保存する必要がある「走行データ」と、検査成績書を印刷する際に必ず保存される「測定データ」と「検査情報ファイル」がある。これとは別に、正式な抜き取り検査の結果として紙ベースで管理、保存する「検査成績書」もあるが、試験番号が付与されていないため、前回の調査では紙ベースの「検査成績書」と電子データの突き合わせは行っていなかった。

 国土交通省は、「検査成績書」が残されていない電子データや、トレースエラーとして扱われていない「走行データ」があることを指摘。これを踏まえて、「検査成績書」と「検査情報ファイル」に共通して記載される「車体番号」を基にデータの突き合わせ作業を改めて行った結果、新たに482台のトレースエラーが判明した。


データの管理状況とデータ照合の関連性(クリックして拡大) 出典:スズキ

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