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JC08モードの要件を無視した927台、スバルの完成検査工程の燃費・排ガス試験で製造マネジメントニュース

SUBARU(スバル)は、完成検査工程で行う燃費と排ガスの抜き取り検査に関して、不適切な測定手続きが行われていたことが新たに判明したと発表した。データをさかのぼって確認できる2012年12月以降、927台で測定条件を満たさない状態で抜き打ち検査が行われていたことが明らかになった。

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 SUBARU(スバル)は2018年6月5日、完成検査工程で行う燃費と排ガスの抜き取り検査に関して、不適切な測定手続きが行われていたことが新たに判明したと発表した。データをさかのぼって確認できる2012年12月以降、927台で測定条件を満たさない状態で抜き打ち検査が行われていたことが明らかになった。

 スバルは同年4月にも国土交通省に対し、完成検査工程の抜き取り検査で燃費と排ガスの測定値を書き換える不正行為が行われていたことを報告したばかり。その後の国土交通省の立ち入り調査を契機に、本来は無効となる測定データを有効なものとして処理していたことが分かった。これを受けて社内調査を実施し、具体的な台数が明らかになった。

 一連の問題の解決に社長の吉永泰之氏が専任で対応するため、すでに発表済みの同年6月22日付の役員人事を一部変更した。当初、吉永氏は代表取締役 会長兼CEOに就任し、「正しい会社推進部」とコンプライアンス室、航空宇宙カンパニー、品質を担当する人事となっていた。

 今回、吉永氏の新職は代表権のない会長に変更となる。CEOは代表取締役 社長に就任する専務執行役員の中村知美氏が務め、航空宇宙カンパニーも担当する。同年6月22日付の役員人事で代表権を持つのは、社長に就任する中村氏と専務執行役員の大河原正喜氏の2人となる。

抜き打ち検査の不正は合計1551台に

 抜き打ち検査で実施する燃費と排ガスの測定は、JC08モードで定められた条件で行っている。JC08モードの速度に対して時速±2kmの誤差が認められているが、トータルで2秒以上、もしくは1回あたり連続1秒以上の速度逸脱があると「トレースエラー」となり、JC08モードの測定データとしては採用できないことが定められている。また、試験室内の湿度は30〜75%でなければならず、この条件を満たさない場合は「湿度エラー」となりJC08モードの測定データとして採用できないという規定になっていた。

 スバルの群馬製作所では、完成検査員の一部がトレースエラーや湿度エラーが発生した場合に、エラーがないものとみなしたり、データを書き換えて有効な測定結果として処理したりしていた。

 このことが判明したのは、国土交通省がスバルに立ち入り検査を実施したのがきっかけだった。スバルでは品質管理の社内規定で、一定台数または一定期間において、排ガスや燃費の測定値の平均値が品質管理上の基準値を達成するよう定めていた。しかし、1台ごとの測定値が基準値に満たない場合に達成できるよう書き換えていたことが明らかになり、2018年4月27日に国土交通省に報告。この時点では、2012年12月〜2017年11月まで903台で測定値を書き換えていたことが明らかになった。

 こうしたいきさつを受けて実施した立ち入り検査の中でトレースエラーや湿度エラーの扱いが不適切であることが分かり、スバルの社内調査によって、903台でトレースエラーが、31台で湿度エラーがあったにもかかわらず、無効な測定結果を有効なものとして処理していたことが判明した。この結果、2018年4月27日に発表された903台と合わせて重複を除くと、1551台の抜き打ち検査で測定データを不適切に取り扱っていたことになる。

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