燃料電池鉄道の実現と駅中心の水素ステーション普及へ、トヨタとJR東日本:燃料電池車
トヨタ自動車と東日本旅客鉄道(JR東日本)は2018年9月27日、水素を活用した包括的な取り組みで協業すると発表した。
トヨタ自動車と東日本旅客鉄道(JR東日本)は2018年9月27日、水素を活用した包括的な取り組みで協業すると発表した。駅を拠点とした水素サプライチェーンを構築し、低炭素で魅力ある街づくりに貢献することを目指す。JR東日本の社有地を活用した水素ステーションの整備や、地域交通への燃料電池車(FCV)の導入、鉄道車両への燃料電池(FC)技術の適用など、幅広い領域での連携を検討している。
具体的な取り組みとしては、JR東日本が進める品川開発プロジェクトなどを通じて東日本エリアでの水素ステーションの整備と拡充を進める。また、FC鉄道車両の開発や導入に向けた諸問題の解決、大量の水素を搭載する移動体の安全性などに関する技術研究も推進する。
両社の連携が地域に根差した取り組みとなるよう、自治体や地域の企業などさまざまなステークホルダーに協調を呼びかけながら水素サプライチェーンの構築を進めていく。
トヨタ自動車が持つFCやFCVの技術、水素ステーションの整備に関する経験やネットワークと、JR東日本が持つ鉄道事業や駅周辺の開発のノウハウを融合し、水素活用を軸に幅広い領域で具体的な検討を行うとしている。
鉄道が電化されていない区間が多いとされるドイツでは、2018年9月17日から燃料電池を搭載した鉄道車両の営業運転が始まっている。鉄道のCO2排出量を減らす狙いだ。報道によれば、車両を製造したフランスのアルストムは「世界初の取り組み」だとしている。一方、日本の鉄道は電化率が6割台で、非電化路線ではディーゼル車が主力となっている。そのため、電化が課題となっている日本の鉄道でも、燃料電池はその1つの解決策となりそうだ。
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