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GMの燃料電池車に米国陸軍・海軍が注目、静粛性や走行距離の長さが軍事での強みに:燃料電池車
General Motorsは、米国の合衆国陸軍協会の年次総会において、商用車向けの燃料電池車プラットフォーム「SURUS」を披露した。
General Motors(GM)は、米国の合衆国陸軍協会の年次総会(2017年10月9〜11日)において、商用車向けの燃料電池車(FCV)プラットフォーム「SURUS(サイレント・ユーティリティー・ローバー・ユニバーサル・スーパーストラクチャー)」を披露したと発表した。
SURUSは、2基の電気駆動ユニットとリチウムイオン電池に四輪操舵(そうだ)を組み合わせたプラットフォーム。走行距離400マイル(約644km)に相当する水素を貯蔵する。GMのトラックシャシーコンポーネントを採用、自動運転や隊列走行も想定している。このプラットフォームによって、積載重量の大きい商用車の性能向上や走行距離拡大を実現するとともに、物流業界の人件費抑制にも貢献するという。
FCVが持つ静粛性と走行距離の長さ、燃料電池システムの発熱の少なさが、軍事用途として相手に発見されるリスクを低減すると見込み、GMと米国陸軍戦車・車両研究開発技術センター(TARDEC)は協力を拡大している。
2017年4月から、米国陸軍ではFCVの「シボレーコロラドZH2」を用いて、軍用としての評価を進めている。音によって検出される距離を従来の車両と比較して90%短縮し、従来より10倍接近できることを確認した。評価試験は2018年春まで継続する。
また、陸軍だけでなく米国海軍も関心を寄せており、2016年にはGMの燃料電池で駆動する無人潜水艇を披露した。
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