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部門思考は部分最適か、製品の多様性と製造効率を両立する標準化とはいまさら聞けない第4次産業革命(26)(2/3 ページ)

製造業の産業構造を大きく変えるといわれている「第4次産業革命」。本連載では、第4次産業革命で起きていることや、必要となることについて、話題になったトピックなどに応じて解説します。第26回となる今回は、スマートファクトリー化などで求められる「一体型モノづくり」を切り口に「多様性への対応」について考察してみたいと思います。

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差別化と自動化の問題

 今日も矢面さんは印出さんを訪ねてきたようですよ。

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印出さん。こんにちは。この前はありがとうございました。


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あら矢面さん、こんにちは。社長のご機嫌も直ったのかしら(前回参照)。


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だいぶ落ち着きましたね。いろいろな方向があって良いということと、われわれの取り組みの方向が間違っていないということがわかったみたいで。「わしらはわしらの道を行くんや」とか言ってましたね。


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そう。よかったわね。矢面さんも落ち着いていろいろ取り組めるわね。


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そうですね。製造現場でいろいろ試行錯誤を進めているんですが、そこでまた、相談したいことが出てきたんです。


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あら、どうしたの?


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以前、自動化を進めるのに、製造部門だけで実現するのは難しいとうことを相談しましたよね。


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ああ、第22回辺りであったかしら。


 第22回では、製造部門だけでスマート工場化や自動化に取り組むことが難しく、設計部門と一体となった取り組みが必要だということを紹介したんでしたね。

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それで、設計と製造の壁をなくして一緒にモノづくりの効率を改善するためにプロジェクトチームを作ったんですけど、これがなかなか難しくて。


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どういうことかしら。


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設計側はスペックを満たしながら製品の差別化を実現したいわけじゃないですか。一方で製造側は製造の自動化を考えると画一的なものの方がよいわけで、大枠での協力の仕組みはできても、そこから先に進めるのがなかなか難しいんですよ。


 確かに、製品の差別化を考えると、機能や形状などで違いを作り出さなければなりません。しかし、他にないような仕組みや機構を作るとなると、製造技術も一般的なものでは作ることが難しく、専用の装置や治具などが必要になります。専用の装置などの開発が必要になると、それなりのコストが必要になり、その回収のためにはある一定数以上の生産量が必要になります。そうなると、少量多品種の製品には使えなくて、使える製品が限定的になる……、など行き詰まりが出てきます。

 そういう中で製造側では少しでも柔軟性を作ろうと、汎用性のあるロボット(特に協働ロボット)の導入などに力を入れるところが増えているわけですが、この「差異化」と「自動化」のトレードオフの関係性を崩すのは難しく、当面は変わらないといえるわけです。では、この差異化と自動化の問題をどう乗り越えていくべきなのでしょうか。

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