東芝がデジタル事業責任者にシーメンス島田氏を採用、デジタル化を加速へ:製造マネジメントニュース
東芝は2018年10月1日付で、同社グループ全体のデジタルトランスフォーメーション事業の戦略を指揮し、グループを横断して事業拡大を推進する「コーポレートデジタル事業責任者(Chief Strategy Officer)」として、現在シーメンス日本法人の専務執行役員を務める島田太郎氏を採用すると発表した。
東芝は2018年9月26日、同年10月1日付で、同社グループ全体のデジタルトランスフォーメーション事業の戦略を指揮し、グループを横断して事業拡大を推進する「コーポレートデジタル事業責任者(Chief Strategy Officer)」として、現在シーメンス日本法人の専務執行役員を務める島田太郎氏を採用すると発表した。
島田氏は、1990年に新明和工業に入社して航空機設計などに従事した後、1999年にSDRC(Structural Dynamics Research Corporation)に入社。SDRCがM&Aなどを経てUGS、シーメンスPLMソフトウェアとなる中、2010年4月にシーメンスPLMソフトウェア日本法人の社長兼米国本社副社長に就任した※)。その後、2014年3月からシーメンスのドイツ本社でセールス開発部門に勤務し、2015年9月から現職とデジタルファクトリー事業本部長およびプロセス&ドライブ事業本部長を務めていた。
※)関連記事:シーメンスPLMの新社長は、元航空機設計者
同氏は、航空機や自動車、精密機械設計などのハードウェア開発とPLM(製品ライフサイクル管理)ソフトウェアの両面にわたる深い知識と経験があり、グローバル展開する国内大手製造業に対するデジタル化コンサルティングも行ってきた。また近年では、エンジニアとしての経験やロボティクスに関する深い知識を生かして、政府が推進するロボット革命イニシアティブ協議会(RRI)やIoT推進ラボなどでもアドバイザーを務め、ドイツの「インダストリー4.0」や日本の「Connected Industries」など、第4次産業革命に関わる活動にも貢献している。
今後東芝では、コーポレートデジタル事業責任者として、グループ全体のデジタルトランスフォーメーション事業の拡大に向けた戦略的な指揮を執りながら、産官学連携によるデジタルビジネス創出の仕組み作りなどを進めていく。また、東芝社内のデジタル化を推進するため、設計から開発、製造までの工場のIoT化を早期かつ高度に実現していくことになる。
島田氏は「この30年で日本の産業界の景色はすっかり変わった。Japan as No.1と言われた頃に社会に出た私は、この景色を変える力が日本には有ると思っている。しかし、それは、過去と同じことを繰り返すのでは無く、他の国が挑んできたように、新たな道を歩むことだと思う。さまざまな事業領域における製造業としての豊富な経験とノウハウは、東芝の強みだ。一方で、その強みを生かしつつも、デジタルトランスフォーメーションによるビジネスモデルの転換も早急に実現していかなければならない。私が日本、米国、欧州の企業で培ってきた戦略性、機能性、実行力を最大限に生かしながら、東芝でその仕事をできることを光栄に思うとともに、新たな未来に向けて始動する東芝での活動を通じて、日本に貢献したい」と述べている。
なお東芝は、2018年7月1日付で、技術統括のコーポレートデジタイゼーションCTOとして、IBM出身の山本宏氏を採用している。同年10月からは、島田氏と山田氏を中心に、グループ全体としてデジタルトランスフォーメーションによりビジネスモデルの本格的な転換を図りながら、さまざまなな事業分野の顧客企業の経営課題を起点とした新しい課題解決型/成果訴求型のビジネス創出に取り組む方針だ(※)。
(※)関連記事:再生目指す東芝が示した新たなIoT戦略とその勝算
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