小型IoT機器向けに、低コストで音声合成機能を実装できるミドルウェアを開発:組み込み開発ニュース
アクエストは、日本語音声合成ミドルウェア「AquesTalk」をベースとした、省メモリで動作する日本語テキスト音声合成ミドルウェア「AquesTalk-KM(仮称)」を開発した。日本語解析処理のデータ構造や使用メモリの管理方法を改良している。
アクエストは2018年8月27日、省メモリで動作する日本語テキスト音声合成ミドルウェア「AquesTalk-KM(仮称)」を開発し、組み込み機器の開発メーカーを対象にライセンス提供を開始した。同製品により、クラウド型の音声合成が使用できないLPWA通信のIoT(モノのインターネット)機器なども、低コストで音声合成機能を実装できる。
同社の日本語音声合成ミドルウェア「AquesTalk」をベースとし、日本語解析処理のデータ構造や使用メモリの管理方法を改良。SDメモリカードやSPIフラッシュメモリなど、比較的低速な外部メモリに辞書データを配置可能にし、処理に必要なRAMサイズを従来の10MBから22KBへ削減した。大容量の外付けRAMが不要になるため、マイクロコントローラーの内蔵RAMだけで漢字仮名混じりのテキストから、音声合成が可能となった。
処理量は8DMIPSで、少ないCPU負荷で動作する。そのため、ローエンドのマイクロコントローラー1つで、音声合成をしながら画面表示するといった並列処理ができる。使用するCPUアーキテクチャやメモリサイズなどの動作環境により、カスタマイズにも対応。評価用に、Wi-Fi/Bluetoothモジュールマイクロコントローラー「ESP32(ESP-WROOM-32)」上に実装可能なライブラリ「AquesTalk ESP32」をオンライン提供している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 音声認識の覇権を握る「Amazon Alexa」、逆転の余地はまだある?
「CES 2017」で一躍存在感を高めた音声認識インタフェース「Amazon Alexa」。既に覇権を握りつつあるという見方も多い。それでも競合他社にとってまだ逆転の余地は残されているようだ。 - 「AIoT」を社外に広げるシャープ、強みは音声対話技術にあり
シャープは、AIとIoTを組み合わせた「AIoT」を今後の成長に向けた事業の柱の1つに据えている。「ソフトバンクワールド 2017」の講演に登壇したシャープ IoT通信事業本部 IoTクラウド事業部長の白石奈緒樹氏は、AIoTを自社製品に応用するだけでなく、社外顧客にも「AIoTプラットフォーム」として広く展開していく方針を示した。 - ダイハツが販売店の整備に音声認識技術を導入、点検結果を自動入力
ダイハツ工業は、定期的なクルマの点検/整備時に、整備士の音声を認識し、点検結果が自動入力されるシステムを新開発した。販売会社で約1年間の実証実験を行い改良を重ねたもので、2018年2月3日に新装開店となる高知ダイハツ販売の南国店に正式導入される。 - 2つのAIを使った音声翻訳サービス、日本語にも対応
マイクロソフトは同社が展開するクラウドベースの機械翻訳サービス「Microsoft Translator」を強化し、ニューラルネットワーク機能を盛り込み、より自然な翻訳を実現した。 - “使えない”クルマの音声認識が“使える”ようになる日は近い
音声認識システム開発の大手・Nuance Communications(ニュアンス)がシリコンバレーで最新技術説明会を開催。車載器とクラウドの双方で音声認識処理を連携して行う「ハイブリッド」方式のデモを行った。さらに、人工知能技術の活用により、Appleの「Siri」をはるかに上回るレベルの音声認識技術も開発中だという。 - 声色は11種類、音声対話を低価格に実現する組み込みボード「Ruby Board」
日立超LSIシステムズが、日本語の音声認識機能と音声合成機能を標準搭載した組み込みボードを発売する。音声認識合成機能の組み込み作業、ライセンスなどの初期費用が不要であるほか、11の話者から好みの声を選択できる。