NXPが買収で車載イーサネットを強化、自動運転時代の高速ネットワークに対応:車載ソフトウェア
NXP Semiconductorsは2018年9月4日、車載イーサネットのIPを持つOmniPHYを買収したと発表した。買収額は非公表とした。
NXP Semiconductorsは2018年9月4日、車載イーサネットのIPを持つOmniPHYを買収したと発表した。買収額は非公表とした。NXPはこの買収により、CANやLIN、FlexRayといった車載ネットワークのポートフォリオに車載イーサネットを加える。広帯域の車載ネットワークの技術を強化することで、自動運転車やコネクテッドカーに必要なデータ量の拡大や処理の高速化に対応していく。
OmniPHYは伝送速度が100Mbpsの100BASE-Tや1Gbpsの1100BASE-T1の仕様に対応した、高速車載イーサネットIPや車載認証済みIPを持つ。NXPは車載ポートフォリオにOmniPHYのインタフェースIPや通信技術を組み合わせることで、車載イーサネットのワンストップショップとなることを目指す。1.25〜28GbpsのPHY(物理層トランシーバー)設計と、先進プロセスによる10/100/1000BASE-T1で技術的なシナジーの創出を見込む。
自動運転システムの開発では、データを高速に伝送することが課題となる。車載イーサネットは現行のCANと比べて100倍以上の伝送速度を持つ。センサーの搭載数増加やV2X機能によって最新の先進運転支援システムはギガビットレベル以上のデータ速度が要求されており、さらに「極めて近い将来にテラバイトレベルのデータ処理も一般的になる」(NXP)と見込む。また、2020年に車内の高速リンクの数が1億5000万に達する見込みで、2030年には11億個まで拡大する見通しだ。
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