車載イーサネットのトランシーバが伝送速度1Gbpsに、1000BASE-T1に準拠:車載半導体
Marvell Technology Group(マーベル)は、伝送速度が1Gbpsの車載イーサネットに対応するトランシーバIC「88Q2112」を発表。従来の伝送速度100Mbpsの車載イーサネットは、車載カメラの映像伝送にエンコード/デコードが必要だったが、伝送速度が1Gbpsあれば不要になるという。
Marvell Technology Group(マーベル)は2015年10月19日(米国時間)、伝送速度が1Gビット/秒(Gbps)の車載イーサネットに対応するトランシーバIC「88Q2112」を発表した。同年11月から、顧客企業を対象にしたサンプル出荷を始める。
現在、車載イーサネットの規格は、伝送速度が100Mビット/秒(Mbps)でシールドなしツイストペアケーブル(UTP)をワイヤーハーネスに用いる100BASE-T1に準拠した製品が市場投入されている。主な用途は、車載カメラで撮影した映像データの伝送である。メーカーは、マーベルの他、Broadcom(ブロードコム)やNXP Semiconductors(NXP)などだ。
また、トヨタ自動車やGeneral Motors(GM)、BMW、Volkswagen(フォルクスワーゲン)、Jaguar Land Rover(ジャガーランドローバー)などの自動車メーカー、Robert Bosch(ボッシュ)、Continental(コンチネンタル)などのティア1サプライヤが参加するOPENアライアンスは、ブロードコムの技術である「BroadR-Reach」をベースに、100Mbps車載イーサネットの普及活動を進めている。そして、BMW、ジャガーランドローバー、フォルクスワーゲンから、車載イーサネットを用いたシステムを搭載する車両が販売されている。
このように100BASE-T1は、既に市場実績があるものの、伝送速度が100Mbpsと限定されているため車載カメラで撮影した映像データをそのまま伝送できず、画像をエンコード/デコードする必要があることが課題になっていた。
2016年前半に規格策定が完了する予定の1000BASE-T1は、UTPを用いる点は100BASE-T1と同じありながら、伝送速度は10倍の1Gbpsに向上している。このため、現在の車載カメラで広く利用されるようになっている100万画素のイメージセンサーで撮影するHD画像(1280×720画素)を、エンコード/デコードすることなくそのまま伝送することができる。またエンコード/デコードを利用すれば、複数の4K画像(4000×2000画素)のストリーミングも可能になる。
マーベルの車載イーサネット適用イメージ。赤線で示す、車載カメラや映像コンテンツを扱う車載ネットワークは、伝送速度が1Gbpsあれば全て車載イーサネットに置き換えられると考えている(クリックで拡大) 出典:マーベル
今回発表した88Q2112は、100BASE-T1のドラフト規格であるIEEE 802.3bpに準拠している。車載イーサネットで最大の課題といわれている、EMI(電磁妨害)については、車載システムの厳格な要件に対応しているという。
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