車載イーサネットにインテルが参戦、部品メーカーは2014年後半にも製品投入:CEATEC 2013
車載情報機器向けネットワークへの適用が検討されている車載イーサネット。「CEATEC JAPAN 2013」では、インテルがデモ展示を行うなど意欲を見せた。一方、村田製作所やTDK、ミツミ電機など、周辺部品メーカーも製品開発を着々と進めている。
現在、駐車時に用いるサラウンドビューシステムや、後席で高画質の映像を楽しむリヤエンターテインメントシステムなど、車載情報機器の映像信号を伝送するネットワークへの適用が検討されているのが、車載イーサネットである。家庭内で映像データや音楽データを伝送する用途に策定されているIEEE802.1 Audio/Video Bridging(イーサネットAVB)がベースとなっており、標準化団体のOPEN Alliance SIGにはグローバルで140社以上が参加している(関連記事:Linuxとイーサネットが鍵を握る車載情報機器の進化)。
「CEATEC JAPAN 2013」(2013年10月1〜5日、幕張メッセ)では、インテル、村田製作所、TDK、ミツミ電機が車載イーサネット関連の展示を行っていた。
カーオーディオとスピーカーをデジタル接続
インテルは、カーオーディオを模したLinuxシステムと、フルデジタルスピーカーを車載イーサネットで接続し、タブレット端末の音楽ファイルを再生するデモンストレーションを行った。
このLinuxシステムのハードウェアには、インテルのプロセッサとイーサネットAVB対応のLANコントローラが搭載されている。LinuxはUbuntuを用いた。一方、フルデジタルスピーカーは、オンキヨーが参考出展したもの。同スピーカーの信号処理技術にはTrigence Semiconductorが開発した「Dnote」と、ディー・クルー・テクノロジーズの技術が活用されている。
カーオーディオとフルデジタルスピーカーの間をつなげているのは1本のLANケーブルのみ。車載イーサネットのベースになっているイーサネットAVBは、デジタル信号の伝送だけでなく、PoE(Power over Ethernet)技術により電力の供給も行えるからだ。
従来のカーオーディオとアナログスピーカーの場合、ノイズ対策のために遮蔽(しゃへい)を施した径が太いアナログケーブルの他、スピーカーを駆動させるための電源ケーブルも必要だった。これらを1本のイーサネットケーブルにまとめられる可能性があるというわけだ。
インテルは、車載情報機器向けプロセッサとして「Atom」の展開を強化している。Atomに加えて、PC向けで実績のあるLANコントローラについても車載イーサネット対応品の展開を検討しているという。
インテルの車載イーサネットのデモ。中央下部にあるタブレット端末とカーオーディオを模したLinuxシステムをBluetooth経由で連携させ(Linuxシステムの操作は上側にあるタッチパネルで行う)、タブレット端末の音楽ファイルを車載イーサネットで接続したフルデジタルスピーカーで再生している(クリックで拡大)
電子部品メーカーも本腰
車載イーサネットの量産採用が近づいていることもあり、電子部品メーカーも対応製品を展示していた。
村田製作所とTDKが展示したのは、車載イーサネット対応のコモンモードフィルタである。車載イーサネットも、他の車載ネットワークと同様にノイズ対策に有効な差動信号を通信に用いるが、コモンモード(同相成分)ノイズに対しては専用の電子部品で対策する必要がある。それがコモンモードフィルタ(コモンモードチョークコイルとも言う)なのだ。
両社とも、車載イーサネットで求められるモード変換特性(Scd21)を高めており、4532部品(外形寸法が4.5×3.2mm)となっている。サンプル出荷時期も2014年後半と同じだ。
スマートアンテナを開発中のミツミ電機
ミツミ電機は、車載イーサネットに対応するスマートアンテナを展示した。
スマートアンテナとは、AM/FMラジオやデジタルラジオ、デジタルテレビ放送、LTE通信ユニット、GPS受信機などのチューナを内蔵する複合アンテナのことだ。スマートアンテナからのデジタル信号を車載イーサネットで出力すれば、先述のインテルの展示と同様に車載情報機器との接続はケーブル1本で済む。
アンテナやチューナを1個のユニットにまとめれば、車載情報機器本体を小型化できるというメリットも得られる。各アンテナと車載情報機器側のチューナをつなぐ同軸ケーブルが1本にまとまるので、信号伝達のための最適化作業なども不要。「まずは、AM/FMラジオとLTE通信ユニット、GPS受信機のアンテナとチューナを内蔵する製品から開発する」(ミツミ電機)としている。2014年後半までに開発のめどをつける方針だ。
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