車載イーサネット標準化団体が勢力を急拡大、発足5カ月で30社以上が参加:まずはサラウンドビューから
車載イーサネットの標準化団体である「OPEN Alliance SIG」が勢力を急速に拡大させている。2011年11月の発足時の6社から、5カ月後の現在は33社にまで参加社数を伸ばしている。
車載イーサネットの標準化団体である「OPEN Alliance SIG」が勢力を急速に拡大させている。参加社数は、2011年11月の発足時の6社から、5カ月が経過した現在は30社以上まで増えている。同団体の設立に携わったNXP Semiconductors(以下、NXP)が、2012年4月に東京都内で開いた記者会見で明らかにした。
OPEN Alliance SIGは、NXP、Broadcom、Freescale Semiconductorの半導体メーカー3社と、車載情報機器大手のHarman、BMW、Hyundai Motor(現代自動車)の6社が設立した(関連記事1)。現在では、これらの6社に加えて、車載マイコン最大手のルネサス エレクトロニクスや、欧州の電装機器大手であるRobert BoschとContinental、シート大手のLear、Jaguar Land Roverが中核会員であるPromoterに名を連ねている。
また、一般会員となるAdopterには、車載半導体大手のInfineon Technologies、電装機器大手のアルパインとVisteonが参加している。さらに、コネクタ大手のTE Connectivity、Molex、Rosenberger、計測器大手のAgilent Technologies、Lecroyなど、車載ネットワークの開発に必須の部品やツールのベンダーが名を連ねている。4月1日時点での参加社数は33社である。NXPは、「OPEN Alliance SIGの設立以降、多数の企業に参加してもらっている。今後は、今はまだ数が少ない日本企業を増やせるように活動を強化したい」とコメントしている。
OPEN Alliance SIGでは、Broadcomのイーサネット技術「BroadR-Reach」をベースに新たな車載イーサネット規格を策定している。BroadR-Reachは、接続線としてシールドなしのツイストペアケーブル(UTP)を用いながら、100Mビット/秒のデータ転送速度と100m以上の長距離のデータ伝送が可能なことを特徴としている。また、将来的な高速化要求に応えるために1Gビット/秒のデータ転送速度を持つ規格の策定も検討している。
NXPによれば、「現在でも一部の車種では、車両点検の際に使う診断用ネットワークにイーサネットが採用されている。この診断用ネットワークに加えて、駐車時に使うサラウンドビューシステムなどのカメラシステムのネットワ―クに、BroadR-Reachベースの車載イーサネットの採用が進むだろう。車載イーサネットを使ったカメラシステムは、2016〜2017年に一定の規模で市場を形成するようになる。当社はそれに先駆けて、2014年には車載イーサネット対応トランシーバICを市場投入する計画だ」と語る。
なお、車載イーサネット対応トランシーバICについては、BroadR-Reachを開発したBroadcomが製品化で先行している(関連記事2)。これに対してNXPは、「BroadcomはCMOSプロセスでトランシーバICを製造しているが、当社はSOI(Silicon on Insulator)技術を用いたBCD(Bipolar、CMOS、Double Difused MOS)プロセス『ABCD9』で製造しているので、より高耐圧、高耐熱を実現しやすい。また、車載ネットワーク向けトランシーバICでトップシェアという実績と、これらの実績を積み重ねるまでに構築した自動車業界の厳しい品質要求に対応できる体制も重要だ」と述べている。
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