大径部品加工向けに機能を絞ったスイス型自動旋盤:FAニュース
スター精密は、大径部品加工向けのスイス型(主軸移動型)自動旋盤「SR-38J」を発表した。高機能の刃物台、多様な工具レイアウトが可能になる増設ユニット、ガイドブッシュ切り替え機構などを搭載し、加工時間や材料コストを削減する。
スター精密は2018年8月21日、大径部品加工向けのスイス型(主軸移動型)自動旋盤「SR-38J」を発表した。同年11月から販売する。
同社は2016年に最大加工径38mmの「SR-38」シリーズを発売している。SR-38Jは、同シリーズの複合加工機能を絞り込んだ直線制御軸5軸モデルだ。主な用途として、自動車や油圧空圧装置、一般機械分野での大径部品加工向けを想定している。
正面加工用として、ガイドブッシュを取り囲むような構造の門型刃物台を、背面加工用の刃物台には4軸型ユニットを搭載。正面、背面で工程を分割したり、同時に加工したりと加工時間を短縮できる。
作業者側には5本型バイトホルダーを標準装備した。オプションで3本型バイトホルダーの増設もできる。奥側に配置された2本型バイトホルダーと合わせると、最大10本の外径加工用工具が装着可能だ。
また、刃物台上側にクロス加工専用の3軸を配置。用途に応じて工具ユニットが装着できるカートリッジポジションも1カ所用意されている。ここにオプションの増設ユニットを装着すれば、工具ユニットの取り付け本数が増え、多様なレイアウトが可能になる。
さらに、材料の振れを防止して高精度に加工できるガイドブッシュ仕様と、材料を有効に使用できるノンガイドブッシュ仕様を切り替えられる機構や、NC装置にはアラーム内容を画面上で確認できるアラームヘルプ機能を搭載する。
段取り替えメンナンス時に余裕のある作業スペースを確保するため、主軸台室と切削室に採用した広い開口部の跳ね上げ式ドア、最適なポジションで作業できる可動式操作パネルなど、作業性や操作性を向上する工夫も施された。
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