5G商用化に向け部品メーカーも加熱、三菱電機が基地局向け光通信用デバイス投入:組み込み開発ニュース
三菱電機は2018年9月4日、第5世代(5G)移動通信基地局向けの光通信用デバイス「25Gbps EML CAN」を同年11月1日に発売すると発表した。
三菱電機は2018年9月4日、第5世代(5G)移動通信基地局向けの光通信用デバイス「25Gbps EML CAN」を同年11月1日に発売すると発表した。
5Gは日本を含む世界各国で2020年頃から商用サービス化が開始されることが予定されており、現在は関連機器の開発や製品化が急速に進められているところである。5Gは高速、大容量の通信能力だけでなく、多接続、低遅延化なども実現されるという。これらの利点により、移動体端末から基地局間の通信量だけでなく、基地局からデータセンターなどをつなぐアクセス網や幹線網などの通信量も大きく増加することが見込まれている。
これらのバックヤードの通信ネットワークは光通信ネットワークで構築されていることが多い。三菱電機が新たに投入した新製品はこの光通信ネットワークの大容量化に対応するための製品となる。
三菱電機が新たに開発した光通信デバイス「25Gbps EML CAN」は、電気信号を光信号に変換する半導体レーザー製品となり、基地局などで利用される光伝送装置の部品となる。
新製品の特徴にはまず、伝送速度25Gbpsを実現し、移動通信システムの高速大容量化に貢献するという点がある。光伝送デバイスでは箱型で複数のチップを組み合わせることが可能なTOSA型と、単独のチップ構成だが生産が容易なCAN型が存在するが、新製品は「CAN型では世界最高の通信速度を実現した」(三菱電機 高周波光デバイス製作所 光デバイス部 次長の宮崎泰典氏)。
さらに、内部に搭載したペルチェ素子の温度調節機構による消費電力を従来比約40%の低減に成功。移動通信システム全体での低消費電力化に貢献する。また、TO-CANパッケージを採用することで従来製品との外形寸法の互換性を確保しており、同デバイス採用製品の生産性向上にもつなげられる。
三菱電機の半導体・デバイス第二事業部長である吉田一臣氏は「2020年の商用化を目指し、2018年後半から2019年にかけて5Gに関連する需要も本格化する見込みだ。5G向けを含む高周波光デバイス事業の売上高は2017年度は340億円だったが、2020年度には500億円に成長させる」と述べている。
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