IIoTネットワーク向けのワイヤレス通信ソリューション開発で協業:製造ITニュース
アドバンテック、Behr Technologies、日立ソリューションズアメリカ、マイクロソフトの4社は、拡張性や信頼性、セキュリティを備えた産業用IoT(IIoT)ネットワーク向けのワイヤレス通信ソリューション開発で協業する。
アドバンテックは2018年7月17日、Behr Technologies(BTI)、日立ソリューションズアメリカ、マイクロソフトと、産業用IoT(IIoT)ネットワーク向けのワイヤレス通信ソリューション開発で協業すると発表した。この協業により、プロダクションレベルの産業用・商業用アプリケーション向けにセンサー接続を確約する、マスマーケット向けのワイヤレスゲートウェイソリューションの提供が可能になる。
今回の協業は、産業・商業領域のさまざまなセンサー接続で使用する、堅牢かつ包括的なIIoT通信ソリューションに対する市場需要への対応を目的とする。新たに開発するワイヤレス通信ソリューションでは、高い拡張性、最深の建築物透過性、既存システムとの統合性・相互運用性、ノード向けの長寿命バッテリーの実現を目指している。
共同開発の基盤となるのは、低消費電力広域ネットワーク(LPWAN)通信ソリューションの「BIT MIOTY」だ。BTI MIOTYは、低スループットネットワーク向けのETSI規格電信分割(Telegram Splitting)超狭帯域(TS-UNB)技術仕様を使用している。業界標準のアドバンテックゲートウェイを使用した場合、半径5〜15kmの範囲内で通信事業者を必要とせず、1日で最大150万件のメッセージを伝送できる。これに加え、日立ソリューションズのIoT Service Hubにより、リアルタイムでデータを分析して運用効率を高めることができる。
4社は協業の第1弾として、BTI MIOTY LPWANワイヤレスソリューションを業界標準のゲートウェイに用いて、従業員の安全性を確保するソリューションを開発。ウェアラブルデバイスを活用して従業員の心拍数をモニタリングし、BTI MIOTYによって無免許で送信できるサブギガヘルツ帯を介してアドバンテックの1つの基地局に伝送する。そこからMicrosoft Cloudへと転送され、日立ソリューションズのIoT Service Hubが高リスク環境で働く従業員の健康状態を分析し、危険な状態にある従業員にアラートを送信する。採掘現場経営者などの雇用主は、同ソリューションの導入により、従来の数分の一のコストで従業員を保護できるとしている。
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