タニタが靴を履いたまま測れる体組成計を発売、計測時間も半減:医療機器ニュース
タニタが施設向け体組成計の新製品である「DC-13C」を発表。手で握った電極から電流を流して計測する方式を採用しており、靴や靴下などを脱ぐことなく体組成を計測できる。このため、計測の準備から終了までの「トータル計測時間」が、従来の約1分30秒に対して半分以下の40秒に短縮できるという。
タニタは2018年8月7日、東京都内で会見を開き、施設向け体組成計の新製品である「DC-13C」を発表した。一般的な体組成計が、靴や靴下を脱いではだしになってから体組成計に乗り、足裏に接触する電極から電流を流して計測を行うのに対して、新製品は手で握った電極から電流を流して計測する方式を採用。靴や靴下などを脱ぐことなく体組成を計測できる。このため、計測の準備から終了までの「トータル計測時間」が、従来の約1分30秒に対して半分以下の40秒に短縮できるという。同日に発売し、主に公共施設やイベント会場、健康経営に取り組む企業のオフィスや工場向けに展開する。価格(税別)は28万5000円で、年間販売目標台数は500台。
施設向け体組成計の新製品「DC-13C」に乗るタレントのデーブ・スペクターさん(左)とタニタの谷田千里氏。スペクターさんによれば「室内でも靴を脱がない米国などでDC-13Cは受け入れられやすい」という(クリックで拡大)
体組成計における体組成の計測は、計測対象の身体に流した微弱な電流から分かる電気抵抗値を回帰式に当てはめて算出する「生体インピーダンス法」が用いられている。ただし、生体インピーダンス法では、両手両足間や両足間に電流を流すタイプが主流だ。タニタ 社長の谷田千里氏は「足から電流を流すには、はだしにならなければならない。公共施設やオフィスなどへの設置が広がりつつある施設向け体組成計を利用する場合も、靴や靴下を脱がなければならないが、それが手間だったり、女性だと恥ずかしかったりして、体組成を計測してもらえないという障壁になっていた」と語る。
今回発表したDC-13Cは、両手間で電流を流す両手間計測体組成計であり、靴や靴下を脱ぐことなく体組成を計測できる。「これまで体組成の両手間計測は、測定結果が安定しないという課題があった。しかし当社独自の技術でこの問題を解決した」(谷田氏)という。なお、この独自技術の詳細は明かさなかったものの、これまでに培った知見を基にした新たなアルゴリズムによる回帰式、計測母数の増加、安定した計測姿勢を保ちやすくする取り外し式電極の採用などを挙げた。
DC-13Cで計測できるのは、体重、体脂肪率、脂肪量、除脂肪量、筋肉量、筋肉率、体水分量、体水分率、推定骨量、基礎代謝量、内臓脂肪レベル、BMIの12項目。高い周波数と低い周波数の2種類の電流で計測するデュアル周波数方式を採用し、体組成の日内変動による誤差を抑えて正確な計測結果を表示できる。施設向けで求められる、計測結果を即座にプリントアウトするためのサーマルプリンタも内蔵している。タニタのNFCリーダーライター「MY-200」(別売)やPCなどと接続すれば、データをインターネット上のサーバに転送して管理できる。
なおタニタは、体組成計の販売に加えて、体組成計で計測したデータを基にした健康づくりパッケージ「タニタ健康プログラム」も併せて拡販したい考え。タニタ健康プログラムは、タニタ社内での運用で医療費の9%削減や適性体重者比率の向上などを実現している。谷田氏は「施設向け体組成計は医療施設や検診施設、フィットネスクラブを中心に利用されてきた。はだしにならずに計測できるDC-13Cの投入により、新市場を創出していきたい。室内でも靴を脱がない欧米市場でも受け入れやすいだろう」と述べている。
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