空調のHUBを目指すダイキン、6社合同で「未来のオフィス空間」づくりへ:製造業IoT(2/2 ページ)
オカムラ、ソフトバンク、ダイキン工業、東京海上日動火災保険、三井物産、ライオンの6社は、ダイキン工業が同年2月に発表した協創プラットフォーム「CRESNECT」を共同で進めていくことで合意。6社が参画する第1弾プロジェクトは「未来のオフィス空間」づくりで、2018年内に東京23区内のワークスペースを用いた実証実験を始める。
6社にとどまらずCRESNECTへの参画を募る
現時点で挙げられているテーマは3つ。1つ目の「より効率的に働けるオフィス空間」では、入退室管理やオフィス機器の利用などの識別に生体認証を活用し、高いセキュリティを保ちながら認証作業を簡素化し、AI(人工知能)活用による雑務処理や、資料作成の効率化で、本来の業務に集中できるオフィス空間サービスの開発を行う。また、香りや照明、IoTオフィス家具を活用し集中力コントロールを行うことで生産性向上を目指す。
2つ目の「より創造的に働けるオフィス空間」では、創造性を高めるために、音、光、匂い、色、温度など、五感に作用する要素を組み合わせてコントロールし、業務の種類に適したオフィス空間を作り出すサービスを開発する。コミュニケーションの活発化や五感を刺激し感性を研ぎ澄ませることで、新たな発想が生まれやすい空間づくりを目指す。
3つ目は「より健康的に働けるオフィス空間」で、在室者の行動を見える化することで、オフィスワーカーの業務を健康面からも支援する。着座している時間や移動距離、ストレス度や集中度などを計測して分析することで、それぞれに適したタイミングでのリフレッシュタイムや仮眠の推奨、精神状態に合わせた業務の提案を行い、健康的に働き続けられるオフィス空間サービスを開発する。
オフィス家具大手のオカムラは、センサー搭載のオフィス家具の導入や、取得したビッグデータを活用した新たなサービス開発に取り組む。ソフトバンクは、得意とするIoT、AI、ロボット技術によるデータを集めて分析する仕組みで貢献する。ダイキン工業は、空調機をHUBとしたビジネスソリューションの創出と、CRESNECTによるパートナーシップの拡大と1社だけでは実現できない価値ある空間ソリューションの実現を目指す。
東京海上日動火災保険は、ストレス度や集中度などを中心に、未来のオフィス空間づくりに関する研究で計測/蓄積されるセンシングデータの分析などを実施し、ヘルスケア分野などにおける新たなサービス提供や健康経営ソリューションの開発に向けた可能性を検討する。大手商社である三井物産は、サービス型ビジネスモデルの企画/事業化の経験とノウハウの提供、ダイキン工業との空調サービス事業会社であるエアアズアサービスによる事業展開、三井物産の連結決算対象関係会社約500社の現場への展開などを挙げている。ライオンは、オーラルケアの強みを生かした口腔内のセンシングによる健康チェック、香りの技術を用いたメンタルヘルスケアを意識した空間創り、口臭チェックアプリなどを用いたコミュニケーションの向上などを検討している。
また、今回の6社にとどまらずCRESNECTへの参画を募っていきたい考え。米田氏は「参加社数について明確に目標は立てていないが、実証実験の立ち上げまでには、現在声掛けしている幾つかの企業も加わっているだろう。私個人の考えだが、1業種に複数社が参加できるなど門戸を広げたい。独自技術を持つスタートアップにも参加してほしい」と述べている。
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