製造業のIoT活用、フジテックと日置電機とパナソニックCNS社はどうしているのか:Discovery 2018(2/2 ページ)
ソラコムの年次ユーザーイベント「Discovery 2018」において、「製造業におけるIoT活用」をテーマとしたパネルディスカッションが行われた。登壇したのは、フジテックの友岡賢二氏、日置電機の久保田訓久氏、パナソニック コネクティッドソリューションズ(CNS)社 の山崎徹氏である。
IoT活用の成功のカギは、打数を増やすこと
次の質問は「日本の製造業の強みは何だと考えているか」である。これに対して山崎氏は「日本の製造業の強みは、なんといつてもQCDでいくとクオリティーとデリバリーにある。特に、製造業のモノのクオリティーに関わる部分では素晴らしい経営システムができ上がっている。それに加えて、製品が使われるときのエクスペリエンスや、顧客に合ったパーソナライズのところまでをクオリティーであると広げて考えると、IoTが関与できるところがあり、日本の強みをさらに発揮できるのでは」と述べた。
久保田氏はこの意見に加えて「日本ではクオリティーの範ちゅうが狭い。ユーザーにどのような価値を提供するかを考えるとIoTはその可能性を秘めたものであり、日本の製造業とうまく合わせて取り組んでいきたい」とした。
最後の質問になったのが「IoT活用の成功のカギは」だ。友岡氏は「低コストであるということで、成功のカギは打席数を増やす(取り組み回数を増やす)ことだ」と挑戦することの重要性を再度強調。
久保田氏は「自社の製品価値を高めるという視点から、IoTを使ってアイデアを実現して、それを製品に生かし、価値を生み出すということが大切だ」とした。山崎氏は「多くの顧客のPoC(概念実証)で、特に画像分析などを行ってきた。このアセットを生かして、一から作るのではなくより簡単に画像分析などが行えるように準備を進めている。さらに、積極的にIoTを使ってみるということをすすめている」などと述べた。
これらの意見を受けて川本氏は「イノベーションといわれると、最初から作り上げるということもあるが、ちょっとした改善もイノベーションと捉えている。そうした意味でソラコムも品質が良いサービスを提供することができる」とまとめた。
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