製造業のアフターサービスを“稼働時間確保サービス”へ、シンクロンが後押し:サービタイゼーション
シンクロンが製造業のアフターサービスのビジネスモデル変革に向けた提案活動を活発化させている。現在の製造業では、製品が故障した際に部品交換/修理を行うことがほとんどだが、IoTを活用した予兆保全によってサブスクリプションベースのリカーリングビジネスにしていくことを支援する。
アフターサービスパーツ管理ソリューションを展開するシンクロン(Syncron International)が、製造業のアフターサービスのビジネスモデル変革に向けた提案活動を活発化させている。現在の製造業では、製品が故障した際に部品交換/修理を行うことがほとんどだが、IoT(モノのインターネット)を活用した予兆保全によってアフターサービスをサブスクリプションベースのリカーリングビジネスにしていくことを支援する方針だ。
これまで製造業のアフターサービス部門は、収益を生み出すというよりもコストセンターとして扱われることが多かった。シンクロン CEOのアンダース・グルーデン(Anders Gruden)氏は「“壊れたから直す”という従来のアフターサービスのビジネスモデルは、サービスパーツを用意し、サービスエンジニアによる修理が完了するまで、顧客にとってダウンタイムが発生してしまう。しかし、IoTやAI(人工知能)の活用により、ダウンタイムを起こさずに“アップタイム(稼働時間)”を確保するビジネスとして、安定した収益を得る事業にすることが可能になる」と強調する。
従来のアフターサービスは、部品コストやサービスエンジニアの労務時間を勘案して案件ごとに支払いを行うのが一般的だった。これらの「トランザクション(案件ごと)モデル」に対して、グルーデン氏が提案するのが、稼働時間の確保というサービスへのサブスクリプションを求める「アップタイムモデル」だ。「モノの売り切りが中心といわれる製造業だが、安定収入が確保できるサブスクリプション+リカーリングビジネスを本来的に求めている。IoTやAIはそのチャンスをもたらしてくれる」(同氏)という。
そのためにシンクロンが提供するのが「Syncron Uptime(シンクロンアップタイム)」だ。ERPやIoTプラットフォームなどとの連携により、機器の稼働状況を把握して故障状況の可視化や予測を実現する、いわゆる予兆保全や予防保全を可能にするソリューションになる。シンクロンは、シンクロンアップタイムの第1弾として、2018年内にアフターサービスパーツの在庫管理と最適な配送を行う「Syncron Uptime Delivery(仮)」を提供する計画。リアルタイムのIoTデータの取得により正確性を高められるとする。
第2弾として2019年に提供を予定しているのが、稼働時間を確保するサービスの価格設定を行うための「Syncron Uptime Service(仮)」だ。シンクロンは、サービスパーツの価格設定を適正に行うための「Syncron Price」を提供しているが「これからはサービスパーツのみならず、サービスについても適正に価格設定しなければならない」(グルーデン氏)という。
グルーデン氏は「重機メーカーや自動車メーカーは既に当社のソリューションを活用していただいている重要顧客であり、大手の顧客企業が多数いる日本は重要市場だ。そして現在はハイテク分野からの引き合いも強くなっている。製造業のアフターサービスのビジネスモデル変革を後押して、日本の製造業の競争力強化に貢献できれば」と述べている。
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