ユーザーが1万社を超えたソラコム、「ポケトーク」のグローバル対応を62日で実現:Discovery 2018(3/3 ページ)
ソラコムは、東京都内で年次ユーザーイベント「Discovery 2018」を開催。基調講演に登壇した同社社長の玉川憲氏は、ユーザー数が1万社を超えたことや新たなサービスなどを発表。ソースネクストや日本瓦斯などのユーザー、KDDI、アマゾン ウェブ サービス ジャパン、東京海上日動火災保険などのパートナーも連携事例を紹介した。
保険会社からIoTデバイス補償サービスも登場
玉川氏は、IoTを誰もが使えるようにする、民主化していく「IoT Democratization」もテーマとして取り上げた。ここでパートナーである東京海上日動火災保険の情報産業部長を務める堤伸浩氏が登壇し、ソラコムユーザー向けのIoTデバイス補償サービス「AOSORA」を発表した。
IoTデバイス補償サービスを構築するには「制度設計」「運営」「ファイナンス」などの面で課題がある。堤氏は「早期にIoTデバイスを活用したサービスを立ち上げたいときに、補償サービスがボトルネックになる場合もある。AOSORAはこの課題をワンストップで解決する」と語る。Discovery 2018のタイミングから予約受付を始め、2018年7月26日からサービスをリリースする予定だ。
あらゆるアクセス回線を通じてクラウドへセキュアにつなぐ
さらにIoTの民主化を進めるソラコムのサービスを紹介したのは、ソラコム 執行役員 プリンシパルソフトウェアエンジニアの片山暁雄氏だ。2016年11月に発表したデータ収集を簡単に始められる「SORACOM Harvest」のユーザーからさらなる機能拡張の要望を受けており、それに対応して開発したのがダッシュボード作成・共有サービス「SORACOM Lagoon」である。
SORACOM Harvestは、IoTデバイスからのデータを収集・蓄積する機能がある一方で、そのデータを見るための機能は限定的だった。SORACOM Lagoonは、オープンソースの「Grafana」をベースに、SORACOM Harvestで収集・蓄積したデータを用いたダッシュボードの作成や、そのダッシュボードの管理者以外との共有が可能で、アラート機能も備えている。
片山氏は「デバイスのデータをいち早く確認したいときはSORACOM Harvest、SORACOM Harvestにためたデータの可視化、共有、アラートはSORACOM Lagoon、複数のデータソースや既存システムとの連携、複雑な可視化などを行いたい場合にはパートナーソリューション、という使い分けをしていただければ」と提案した。
SORACOM Lagoonはオペレーター単位で提供される「Makerプラン」があり、1カ月当たりの料金は日本カバレッジが980円、グローバルカバレッジが9.8米ドル。編集が1ユーザー、閲覧が2ユーザー、ダッシュボードは3枚、アラート設定数は10までとなっている。
そして講演の最後に玉川氏は「これまでソラコムは『あらゆる無線とクラウドをセキュアにつなぐ』としてきた。今後は、新たなサービスなどによって『あらゆるアクセス回線を通じてクラウドへセキュアにつなぐ』ことになる」と述べている。
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