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自動運転車はアリに学べ、シンプルな渋滞解消策の実現へ自動運転技術

東京大学は「東大駒場リサーチキャンパス公開2018」を実施した。これは東京大学の駒場リサーチキャンパス(東京都目黒区)に拠点を置く生産技術研究所と先端科学技術研究センターが共同で開催する年に1度のイベントだ。2つの研究所のほぼ全ての研究室や研究グループが参加し、日頃の研究活動の一端を広く学外に紹介した。

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 東京大学は2018年6月8〜9日の2日間、「東大駒場リサーチキャンパス公開2018」を実施した。これは東京大学の駒場リサーチキャンパス(東京都目黒区)に拠点を置く生産技術研究所と先端科学技術研究センターが共同で開催する年に1度のイベントだ。2つの研究所のほぼ全ての研究室や研究グループが参加し、日頃の研究活動の一端を広く学外に紹介した。普段は一般に公開されていない研究施設内に入れる貴重な機会にもなっている。

 同年6月8日に行われたオープニングセレモニーでは、「人工知能(AI)で交通はどう変わる!? そのインパクトと課題」というテーマのもと、モビリティに関する2つの講演が行われた。

ドライビングシミュレーターで、自動運転のアルゴリズム構築


東京大学の須田義大氏(クリックして拡大)

 1本目の講演は東京大学 生産技術研究所 教授である須田義大氏が登壇し、「自動運転によるモビリティ・イノベーション」という題目で行われた。須田氏は「自動運転技術によって世の中にモビリティ革命が起きるのではないかといわれている」とし、「CASE(Connected、Autonomous、Share & Service、Electric)」「MaaS(Mobility as a Service)」という言葉に自動車業界の注目が集まっていることを紹介した。

 特に、自動運転技術が注目されてから自動車を取り巻く環境は急激に変わりつつある。須田氏は、自動車が個人所有する“モノ”から“サービス”へ移行している現状に触れ、モビリティが公共のサービスになりつつあると説明。さらに、自動運転技術の進展には2通りのシナリオがあり、どちらも最終目標は完全自動運転であるが、業界や立場によってアプローチが異なることを紹介した。

 自動車メーカーは、現在のレベル2の自動運転から順にレベルアップを目指すアプローチをとる。これに対し、IT企業や新規参入のシェアリング事業者などは、全ての操作をシステムが制御するレベル4からのスタートを目指す。技術が発展してモビリティのサービスとしての利用が進むと、バスや鉄道、運輸といったサービスにも自動運転技術が導入されるという。生産技術研究所でも、これに向けた取り組みとして、大型トラックの隊列走行実験やドライビングシミュレーターによる自動運転アルゴリズムのモデル化などを行っていることを紹介した。

 さらに須田氏は、安全な自動運転のためにはセンシングや通信、デジタルマップなどが不可欠であり、自律システムとインフラが協調する必要性についても紹介した。また、外部からの侵入を防止するサイバーセキュリティの必要性にも言及して講演を終えた。


CASEとMaaSが2018年のキーワードだという(クリックして拡大) 出典:東京大学

なぜアリの行列は渋滞しない? 自動運転で渋滞を解消する意外な方法


東京大学の西成活裕氏(クリックして拡大)

 講演の2本目は、東京大学 先端科学技術研究センターの西成活裕氏が登壇。「渋滞緩和と自動運転」のテーマでユニークな実験結果を紹介した。

 高速道路で発生する渋滞の一番の原因について、西成氏は「上り坂やサグ部(下り坂から上り坂などに変化する地点)での走行スピードの微妙な低下だ」と説明した。高速道路では、平たんに見えても2度ほどの上り勾配になっている箇所がある。走行しているクルマがそこに差し掛かってスピードが落ちると、車間を詰めて先行車両に続いていたクルマはブレーキを踏むことになる。このブレーキランプの点灯が後続車両に伝わり、後ろに行くにつれて徐々に強いブレーキを踏ませる。これが渋滞に発展するのだという。

 このようなメカニズムで渋滞が発生する場合は、後続車両が車間距離を十分に保っていれば発生しない。また、渋滞が発生した後でも、渋滞に近づく前にスピードを控え(スローイン)、渋滞を抜けたら速やかに脱出(ファストアウト)することで解消できるとした。

 西成氏によれば、渋滞に出会う5分前に時速90kmから時速80kmに減速して走行すると、その間に渋滞は解消するのだという。渋滞の”名所”である中央自動車道 相模湖バス停から小仏トンネルの区間において、JAF(日本自動車連盟)と警察庁の協力の下で行った実験では、スローイン・ファストアウト走法が渋滞の発生回避や解消に効果を発揮したことを紹介した。この走法のようなペースメーカーになるクルマを100台に1台くらいの割合で走らせれば渋滞を解消することが可能で、「ペースメーカーは自動運転車にもできる」(西成氏)とした。

 こうした渋滞解消のアイデアは、アリの行列を観察したことがキッカケになっているという。アリの行列では、非常に多くのアリが連なるが、決して渋滞は発生しない。3カ月に及ぶ観察の結果、西成氏はアリの行列に渋滞がないのは、アリが前者との間隔を詰めないのが理由だと発見。これを高速道路の渋滞対策に応用したのが、先に紹介した社会実験だ。


アリが渋滞しないなら、クルマも渋滞を起こさないことが可能になる(クリックして拡大) 出典:東京大学

 西成氏は、社会全体の利益を最大化するには、個人と社会の間のジレンマを考慮する必要があり、自動運転時代にはそれが解消できる可能性を示した。また、交通の未来にはETCや道路トラフィックカウンターなどを含むさまざまな交通に関するデータのオープン化が必須であるとの見解を述べて講演を終えた。

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