Solid Edgeでエレメカ連携可能に、HPの3Dプリンタ向けのボクセル単位設定にも:DMS2018(2/2 ページ)
シーメンスは「第29回 設計・製造ソリューション展」(以下、DMS2018、2018年6月20〜22日、東京ビッグサイト)に出展。同社の新製品「Solid Edge 2019」シリーズや、旧CD-adapcoの製品である「Simcenter STAR-CCM+」および設計探査ツール「HEEDS」などを展示し、3D CADと電気設計、解析・シミュレーションとの連携をアピールした。
CADや製造関連の機能強化
前バージョンであるST10から実装したトポロジー(位相)最適化機能については、新たに安全率を条件に加えた。さらに抜き方向を考慮してアンダーカットを排除した形状も導けるようにした。3Dスキャナーから取り込んだポリゴンデータについては面を自動的にスムーズにする機能を追加し、かつ処理スピードも旧バージョンの5倍に向上させたという。
上記と同じくST10から実装したコンバージェントモデリングは、ファセット(ポリゴン)とソリッドを同一の環境で扱いながら、CADの作業環境内で形状編集ができる機能である。こちらはモデルの一部分を選択し移動するなど、使い勝手面に関して細やかな改善を実施した。
アセンブリーを自動的に単一部品にしてソリッド化する(部品を合体させ中身を埋める)機能も追加した。外部の企業や組織との連携の際、設計データの内容の一部を伏せながら3Dデータを提供したい場合などに利用できる。アセンブリーを単純化しても、Solid Edge側のリンクは継続可能だ。Solid Edge側で形状修正が入っても、単純化したデータへも自動反映できる。
Solid Edgeの設計データを利用した加工コストの概算見積もり機能も備える。ユーザーがあらかじめ工程に応じた価格を入力しておくことで、価格を集計して帳票化やグラフ化をすることが可能だ。
3Dプリント関連として、HPの3Dプリンタ「HP Jet Fusion 3D 300/500」との連携・出力機能を備え、Jet Fusionの特色であるボクセルデータに対応する。Solid Edgeからボクセル単位で、材料や色などの条件設定が可能となる。Jet Fusionのマルチカラーやマルチマテリアルの機能に対応できる。
従来提供していたSolid EdgeのCAM連携機能「CAM Express」はSolid Edgeに完全統合し、「Solid Edge CAM Pro」と名称を改めた。CAM ExpressはもともとシーメンスのハイエンドCAD「NX」向けのCAM機能だった。
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