「Solid Edge ST9」が“クラウド対応”、3次元CADのモバイル運用を意識:CADニュース(1/2 ページ)
シーメンスPLMソフトウェアが、ミッドレンジ3次元CADツール「Solid Edge」の最新バージョン「Solid Edge ST9」を発表。最大の特徴は3次元CADツールのトレンドとなっている“クラウド対応”だろう。Solid Edgeはどのようにクラウド対応を果たしたのだろうか。
シーメンスPLMソフトウェアは2016年6月13日、東京都内で会見を開き、ミッドレンジ3次元CADツール「Solid Edge」の最新バージョン「Solid Edge ST9」の新機能について説明した。英語版は2016年7月1日、日本語版は同年7月末に発売する予定。価格は、月間のサブスクリプションライセンス料金は、最も安価な「Design and Drafting」が1万5000円、「Foundation」が3万円、「Classic」が4万円、解析など全ての機能を利用できる「Premium」が6万円となっている。年間ライセンス料金は、各グレードの9カ月分となる。永久ライセンスも提供するが、国内代理店が販売するため価格は非公開。
米国本社Siemens PLM SoftwareでSolid Edge製品担当ディレクターを務めるジェフ・ウォーカー(Jeff Walker)氏は「CADにとっての“クラウド対応”の意味は、データストレージだったり、アクセス性だったり、ライセンス管理のしやすさだったりと人によって受け取り方は異なる。今回発表するSolid Edge ST9では、CADをどこへでも持ち運び、データを簡単に共有化できるというクラウドのメリットはそのままに、クラウドの課題である通信環境に左右されない仕組みを取り入れた“クラウド対応”になっている」と語る。
まずSolid Edge ST9では新たにクラウドライセンスを採用した。このクラウドライセンスでは、クラウド上にあるポータルにログインすることで、ローカルのPCにインストールしたSolid Edge ST9を起動する。このとき、ライセンスに個人設定がひも付いているので、異なるPCにインストールしたSolid Edge ST9であっても、ユーザーごとの個人設定を再現できる。「社内と出先、どちらでもSolid Edge ST9を利用できるようになる」(ウォーカー氏)という。
CADデータの共有化については、「Dropbox」や「One Drive」、「Google Drive」といった一般的なクラウドストレージを活用する。あるユーザーが変更を加えたCADデータを、他のユーザーがさらに追加変更するといったことが可能だ。また、編集中のCADデータは自動的にロックが掛かるので、複数のユーザーが同時に変更を加えるといったことが起こらないようになっている。
CADデータはクラウドストレージで共有するが、CADデータの編集作業をクラウド上で行うことはない。クラウドライセンスでのログインと、クラウドストレージ上のCADデータへのアクセスには通信接続が必要だが、それ以外のときは通信接続が遮断されても、ローカルのPC上でCADの操作をそのまま続行できる。ウォーカー氏は「CADのクラウド対応では通信速度で作業性が左右される点が課題になっている。Solid Edge ST9はクラウド対応したが、データをローカルに置いて作業を行うのでその課題はクリアされている」と強調する。
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