「Solid Edge ST9」が“クラウド対応”、3次元CADのモバイル運用を意識:CADニュース(2/2 ページ)
シーメンスPLMソフトウェアが、ミッドレンジ3次元CADツール「Solid Edge」の最新バージョン「Solid Edge ST9」を発表。最大の特徴は3次元CADツールのトレンドとなっている“クラウド対応”だろう。Solid Edgeはどのようにクラウド対応を果たしたのだろうか。
「SOLIDWORKSよりもSOLIDWORKSのデータを高速に編集できる」
この他ユーザーインタフェースを改良した。「Microsoft Office」との統一化を進め、複数のドキュメントのハンドリング性を高めるためにタブ表示を行えるようにした。また4Kディスプレイなどの高解像度モニターもサポートしている。
タブレット端末やタッチパネルを活用した2D CADのアプリ「Catchbook」も用意した。Catchbookで書いたコンセプトデザインに寸法データを付与でき、Solid Edge ST9で取り込めば3Dデータに変換することも可能だ。Catchbookと無償のビュワー「Solid Edge Viewer」は、iOS端末、Android端末、Windows端末のアプリとして提供される。
また「Surface」や「Surface Book」といったWindowsモバイル端末でフル機能を利用できることも特徴になっている。Microsoft Officeとの統一化や、エクスプローラーに統合した検索機能なども、Windowsモバイル端末で有効利用できる機能になる。
STの名前の由来となっている、ダイレクトモデリング(シンクロナス)とパラメトリック(オーダード)機能を融合したシンクロナス・テクノロジーについては、シンクロナスとオーダードのハイブリッドモデリング環境を改善した。具体的には「シンクロナス環境下でオーダードを扱えるようにした」(ウォーカー氏)という。3Dプリンタへの対応も拡充した。Windowsアプリの「3D Builder」と連携し、そのまま3Dプリントや、オンラインでの3Dプリント発注などを行える。
2D CADとなる図面作成機能も強化した。断面/省略ビューの機能強化などの他、マルチコアCPU対応によってビュー更新を高速化した。開発初期段階でもシングルコア比で28%改善したという。シミュレーションについてもメッシュ作成の性能を従来比4倍まで高めた。
競合のミッドレンジ3次元CADツールとなる「SOLIDWORKS」からSolid Edgeへの移行を進めるため、SOLIDWORKSの図面を取り込む機能も強化した。関連図面の連携を維持したまま取り込むことで、作り直し作業ができるだけ発生しないようにした。ウォーカー氏は「シンクロナス・テクノロジーにより、SOLIDWORKSよりもSOLIDWORKSのデータ編集を高速に行える」と主張する。SOLIDWORKSの他、「Creo」や「Inventor」からの移行ツールも用意している。
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