最大24台の3Dプリンタを制御、設計から量産まで一気通貫する「Figure 4」:ママさん設計者が見たDMS2018
スリーディー・システムズ・ジャパン(以下、スリーディー・システムズ)は「第29回 設計・製造ソリューション展(DMS2018)」(2018年6月20〜22日、東京ビッグサイト)において、量産向け統合型3Dプリントプラットフォーム「Figure4」を展示した。今回はFigure4の特徴と市場での将来性、金属粉末焼結造形の現状と「一気通貫」の製品の取り組みをアピールした。
スリーディー・システムズ・ジャパン(以下、スリーディー・システムズ)は「第29回 設計・製造ソリューション展(DMS2018)」(2018年6月20〜22日、東京ビッグサイト)において、量産向け統合型3Dプリントプラットフォーム「Figure 4」を展示した。今回はFigure 4の特徴と市場での将来性、金属粉末焼結造形の現状と「一気通貫」の製品の取り組みをアピールした。
Figure 4は量産のための3Dプリントシステム
スリーディー・システムズでは設計から製造に至るまでの包括的な3Dソリューションを提供する。3Dプリンタだけでなく、3Dスキャニング、3D CAD/CAM、ボクセルモデリングツールといった、製造手前のプロセスからの「一気通貫」を実現することができるとしている。
同社のFigure 4は拡張性を持った装置単機をモジュラーとし、これを複数台連結することで、常時一定の品質でプラスチック部品を量産できる光造形式(SLA)3Dプリントプラットフォームである。
最大で24台の「Figure 4モジュラー」を連結でき、造形スピードは最大で毎時65mm。高い生産能力と、ユーザーの生産スタイルと生産規模に応じたシステム構築ができる拡張性が特色だ。造形だけでなく材料の回収、洗浄、二次硬化などの後処理工程も統合した、完全自動生産化を図ることが可能だという。「Figure 4」による完全自動生産では、金型とその製作時間の影響を受けないため、部品の製造時間の大幅短縮と材料コストの削減が見込めるという。
「Figure 4は、自動車、航空宇宙、そして医療と、あらゆる産業での活用が期待できる統合型AM(Additive Manufacturing:付加製造)プラットフォームになる」と同社 シニアバイスプレジデントのハーバート・コークス(Herbert Koeck)氏は述べた。
DMS2018では金属粉末焼結式3Dプリンタを展示するブースが多く見られ、スリーディー・システムズもその1つだった。従来の製造方法ではできなかった内部部品との一体造形は、軽量かつ強度を保ちながら部品点数を削減できることから、自動車や航空機の燃費向上に貢献している。また、チタン材料を使って造形した人工股関節など、医療分野での適用も進んでいるということだ。
3Dプリンタの技術は進展の一途をたどっており、DMSで各社のブースを訪れると、従来のプロトタイプから実製品の生産へと舵を切り始めている状況にあることがうかがえた。
Profile
藤崎 淳子(ふじさき じゅんこ)
長野県上伊那郡在住の設計者。工作機械販売商社、樹脂材料・加工品商社、プレス金型メーカー、基板実装メーカーなどの勤務経験を経てモノづくりの知識を深める。紆余曲折の末、2006年にMaterial工房テクノフレキスを開業。従業員は自分だけの“ひとりファブレス”を看板に、打ち合せ、設計、加工手配、組立、納品を1人でこなす。数ある加工手段の中で、特にフライス盤とマシニングセンタ加工の世界にドラマを感じており、もっと多くの人へ切削加工の魅力を伝えたいと考えている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- RP、AM、そしてDDMへ。モノからサービス関連へ。モノづくり技術の進化と深化
プロダクトデザイナーの林田浩一氏から見た「設計・製造ソリューション展(DMS)」とは? 3Dプリントや3Dスキャンエリアの展示エリアを中心に、今回の展示の傾向や業界の動向について紹介する。 - 金属が造形可能な3Dプリンタもラインアップに加わった3D Systems、ショールームを初披露
スリーディー・システムズ・ジャパンは、本社移転とともに、3D Systems製品を展示するショールームを開設。同社が2013年6月に買収した仏Phenix Systemsの金属粉末焼結積層の技術についても紹介した。 - 武藤工業、3D Systems製プロダクション3Dプリンタの受注を開始
MUTOHホールディングス傘下の武藤工業は、米3D Systems製のプロフェッショナル向けプロダクション3Dプリンタ「ProX 200」と「ProX 500」の受注開始を発表した。 - CADデータをそのまま金属3Dプリンタに――SLMの最新技術はソフトが肝
愛知産業の技術セミナーでSLM方式積層造形装置の第一人者が登壇した。金属積層造形の動向やSLM技術の歴史などを語るとともに、同社が開発するSLM装置向け統合ソフトウェアについても紹介した。 - 企業だけではなく個人も3Dプリンタ体験ができる
FabCafeの入居するビルの2階にオープンした「CUBE」は、3次元プリンタのショールームだ。企業と個人両方に開放し、FabCafeと連携するモノづくりワークショップも開催する。個人では手の届かない高価なツールを体験できるチャンスだ。