「日本はAIへの関心が世界的に見ても非常に高い」エヌビディア大崎氏:AI・人工知能EXPO(2/2 ページ)
「第2回 AI・人工知能 EXPO」(2018年4月4〜6日、東京ビッグサイト)の基調講演で「NVIDIA(以下エヌビディア)のAI戦略と海外の最新動向」をテーマにエヌビディア 日本代表 兼 米国本社副社長大崎真孝氏がAI革命の最新動向を紹介した。
AIを自社サービスに取り込むセールスフォース
セールスフォースのソーチャー氏は、最先端のAI(人工知能)ソリューションをセールスフォースのサービスに組み込む取り組みなどを主導している。セールスフォース入社以前はセールスフォースが買収したMetaMindのCEO兼創設者を務めていた。MetaMindによるディープラーニングのAIプラットフォームは、画像やテキストデータの分析、ラベリング、予測を行うことで、企業がこれまで以上にスマートでスピーディーにより正しい意思決定を下せるよう支援する。講演では、人間とコンピュータとのシームレスなインタラクションにおける言語認識、医療や農業適用領域におけるコンピュータビジョン、より良い情報アクセス、コミュニティー間連携を実現する自然言語処理などについて話した。
同氏によると「AIの開発は、われわれができることをAIができるようになれば、それはAIにとって大きな進歩となるという発想で研究を進めてきた」とAI研究の歴史を振り返った。最初は、チェスや囲碁が取り上げられた。チェスや囲碁は頭脳明晰な人が行うケースが多く、これができれば他のこともできると考えたからだ。しかし、必ずしもそうはならなかった。チェスや囲碁は人間にとって習得が難しい技術だが、囲碁ができても難しい医学の問題が解けるわけではく、囲碁で使った同じアルゴリズムを医学には使えない。しかし、この一見無駄に思えた研究によって生み出された成果の1つが、深層学習(ディープラーニング)技術および関連のハードウェア、ソフトウェア環境である。
AI関連で最近研究開発および活用が広がっているのがコンピュータビジョンだ。ディープランニングが画像認識にも活用されるようになり、特に生の画像情報から学習できる点が評価を受けている。生情報のインプットにより、最終的なアウトプットを予測する取り組みだ。その間には、さまざまな段階があるが、同じアルゴリズムを使って自動で学習をさせるということに注目が集まっている。
例えば、猫とクルマを分類する場合、以前は専門家がネコの特徴を定義してコンピュータに提供してきた。最近ではそうした方法はとらず、何千枚の画像をマシンに見せて、アルゴリズムの方で自動的に学習するようになっている。これは自動学習であるためAIの専門家がかかわらなくても、AI自体がさまざまな種類のものを認識できるようになるもの。これにより同じアルゴリズムをさまざまな種類の問題に使えるようになった。
「何ができるようになったかというと、モノの数を数えられるようになった。例えばスーパーマーケットの棚の写真だけで商品をカウントできるようになれば、欠品や補充など在庫管理を画像情報のみでできるようになる。しかも、写真を分析することで、モノを特定するだけでなく、画像の説明も自動的に文章でできるようになる」(ソーチャー氏)。これらは「人が文法やモノの名前を教えていなくても、完全にAIが自分で学習し、記述するようにできる」(ソーチャー氏)としている。
この他、ビジュアルで問いかけて、ものによっては言語を優先させることなく、ディープラーニングを使ってアルゴリズムがさらに掘り下げてイメージを特定化することもできるようになった。「例えば『バナナの色は?』の問いに対して、黄色という答えが返ってくるが、場合によっては精度が上がって、バナナが熟していない場合もあることから緑と答えることもある」(ソーチャー氏)という。こうしたことは5年前にはできなかったが、今ではより正確な解を導き出せるようになっている。
これらの技術は特にどの領域で活用されているのだろうか。ソーチャー氏はAIの影響が大きいアプリケーションとして特に医療分野を挙げる。例えば「白血球、赤血球の数を数える場合、かつては時間とコストがかかっていたが、ディープラーニング技術やデバイスの高機能化により、自宅で血液検査が行えるようになる。サンプルをデバイス内に入れるだけで、不定形な赤血球や白血球の数を人に代わって数えることができる。従来は数日間かかった検査が1〜2分後には結果を出せる。コストも大きく下げられる。これらの技術は他の疾病にも応用できる」と医療領域での活用拡大に期待を寄せている。
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