エンジン気筒内の状態を20kHzで計測、内部EGRの影響も分かる:人とくるまのテクノロジー展2018
島津製作所は、「人とくるまのテクノロジー展2018」において、エンジン筒内高速モニタ「DIOMELAS」を展示した。稼働しているエンジン気筒内の温度や二酸化炭素濃度、水分濃度を同時に自動計測することが可能で「世界初」(同社の説明員)とする。
島津製作所は、「人とくるまのテクノロジー展2018」(2018年5月23〜25日、パシフィコ横浜)において、エンジン筒内高速モニタ「DIOMELAS」を展示した。稼働しているエンジン気筒内の温度や二酸化炭素(CO2)濃度、水分濃度を同時に自動計測することが可能で「世界初」(同社の説明員)とする。専用プローブが2本付いて、価格は4500万円。既に販売を開始しており、国内販売目標は今後3年間で15台としている。
DIOMELASは、自動車の電動化が進む中でさらなる効率化が求められているエンジン内部の挙動を正確に計測するための計測器だ。同社独自のレーザー光学技術により、温度やCO2濃度、水分濃度を同時に、かつ20kHzという高速の周波数で計測できる。「エンジンの1回転につき1回、1クランク角につき1回以上の計測ができなければ、エンジン内部の挙動を正確に計測することはできない。20kHzという高速の計測により、燃焼機構への関わりが深いといわれる内部EGR(排気再循環)の影響などを検討できるようになる」(同説明員)。
現在のエンジン開発では、内部挙動をシミュレーションで予測して進めているが、実機における内部挙動は正確には把握できていない。DIOMELASを使えば、シミュレーションで想定していない実機での挙動を確認することで、設計精度の向上や開発工数の削減、さらなる性能向上などが図れるとしている。
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