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MaaSは鉄道など公共交通や都市計画にどのような影響を及ぼすか和田憲一郎の電動化新時代!(27)(5/5 ページ)

フィンランド発で、モビリティのサービス化を示す「MaaS(Mobility as a Service)」という一大ムーブメントが起こってきた。公共交通機関やレンタカー、タクシー、レンタサイクルなどを組み合わせて、人の移動をシームレスに行うサービスを示す言葉だ。では今後、MaaSが普及すると、モビリティやサービス変革のみならず、都市交通や都市計画にどのような影響を及ぼすのだろうか。関係者にヒアリングを行った。

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MaaSは誰がリーダーとなることが望ましいのか

和田氏 MaaSのように多くの企業や自治体、公共交通機関などが関連してくる場合、それは誰が政策を立案し、実行することが望ましいのか。どのようにすれば、実行できるのか。

中村氏 まずは行政だろう。地方自治体では、国土交通省が音頭を取った「地域公共交通会議」があり、東京では「東京都市圏交通計画協議会」がある。これらは受け手になるだろう。

 ただし、MaaSに関して行政が枠組みを作ったあとで、サービス部分に関して民間が多様な競争することは良いが、多くの枠組みができて、多様なサービスが生まれると、利用者は使い勝手が良くないのではないだろうか。囲い込みをすると、あるMaaSでは、ある事業者の情報が取れず、シームレスにつながらないということが起こる。自社のみの狭い領域ではなく、より包括的なサービスが実現することを期待したい。

 さらに、今やるべきなのは、本当に困っている人を助けること。つまり、道路混雑のためにクルマを減らす、道路の交通事故低減、さらに高齢者の外出を支援するといった目的のためにMaaSのような情報技術を使うことが望ましい。

インタビューを終えて

 これまでにも「スマートシティー構想」などがあったが、MaaSはそれに匹敵、いやそれ以上のムーブメントになりそうだ。インターネットが発達し、携帯電話機が普及するにつれて、いろいろな乗り物を予約することが可能となってきた。しかし、A地点からB地点まで移動する際に、全ての乗り物、つまりモビリティをシームレスに一括して予約と決済ができるかと言えば、現状ではかなり難しい。

 しかし、フィンランドで起きたMaaSは、それを可能にしようとしている。確かに全てのモビリティを予約する必要はないのかもしれないが、夜間の移動などに、タクシーやカーシェアリングなどの予約は有効だろう。日本で実際にMaaSを実現するために、次のことを解決する必要があると思われる。

  • 日本のMaaSグランドデザインを描くのは誰か
  • 具体的なリード役は誰が務めるのか
  • 情報・データの共有性、セキュリティはどうするか
  • Japan MaaS Allianceの設立可否(欧州では2015年にEuropean MaaS Allianceが結成され活動を開始)

 MaaSは一見、乗り物、つまりモビリティだけの動きに見えるが、今回のヒアリングから俯瞰的に見ると、モビリティやサービス変革にとどまらず、都市交通や都市計画にまでも影響を及ぼすように思える。さらに、MaaSをコントロールするサービスプロバイダーは、自動車業界、鉄道業界、タクシー業界などの垣根を越え、大きな責任や役割を果たすのではないだろうか。

筆者紹介

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和田憲一郎(わだ けんいちろう)

三菱自動車に入社後、2005年に新世代電気自動車の開発担当者に任命され「i-MiEV」の開発に着手。開発プロジェクトが正式発足と同時に、MiEV商品開発プロジェクトのプロジェクトマネージャーに就任。2010年から本社にてEV充電インフラビジネスをけん引。2013年3月に同社を退社して、同年4月に車両の電動化に特化したエレクトリフィケーション コンサルティングを設立。2015年6月には、株式会社日本電動化研究所への法人化を果たしている。


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